Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年4月7日 No.3265  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は4日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

榊原会長は消費税率の10%への再引き上げについて、社会保障制度の充実と財政健全化のため、予定どおり行うべきとの一貫した立場を表明する一方、消費増税によって経済が変調を来さないよう手当てをすることが必要と指摘。2年前の引き上げ時の駆け込み需要に伴う反動減と同様のことを繰り返さず、消費を上昇トレンドに変え、税率を引き上げられるよう、環境を整備しなければならないとの考えを示した。

消費が伸び悩む主な原因としては、(1)消費増税により実質的な所得が十分に伸びないこと(2)将来不安から特に若い世代の消費性向が上がらないこと(3)消費を促す製品・サービスが十分に提供されていないことを挙げた。そのうえで、それぞれについて、(1)3年連続のベアをはじめとする賃金引き上げが実現したことに触れ、(2)国が将来不安を払拭する充実した社会保障制度を示すことに尽きると指摘し、(3)消費を促す製品・サービスの提供に向け経済界も知恵を絞っていると述べた。

また、消費刺激効果が大きい施策として国内観光促進への期待を示し、その振興に向けた環境整備の重要性を指摘。この一環として、経団連は年次有給休暇の取得促進を呼びかけるほか、国に対しては、学校休日を設定する際の自由度の向上や旅行券による需要喚起を提言していると述べた。

次に、今年の春季労使交渉について、3年連続でベアが実現したことによる累積効果への期待を表明した。また、非正規雇用者の正規化・待遇改善のほか、勤務時間の短縮を通じた実質的な賃金引き上げなど、さまざまな処遇改善がなされたことに言及。これは、経済の先行きが不透明になるなか、企業側は中小を含め、でき得る限りの対応を行い、踏み込んで回答した結果であると評価した。

さらに、わが国の最重要課題は経済の好循環を力強く回すことであるとあらためて強調。そのためには賃金の持続的な上昇が必要であり、3年連続の賃金引き上げの実現は経済の好循環を生み出す大きな原動力になると説明。今後も賃金が持続的に引き上げられるような環境を整備していくことが重要であると述べた。

【広報本部】