Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年8月11日 No.3282  輸出拡大に向けたJAの取り組みと政策提言について聞き意見交換 -農業活性化委員会企画部会

経団連は4日、2日に開催されたJAグループとの首脳懇談会のフォローアップとして、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会企画部会(高橋勝俊部会長)を開催した。全国農業協同組合中央会(全中)の比嘉政浩専務理事から、JAグループの輸出拡大に向けた取り組みならびに現在作成中の政策提言について聞くとともに、意見交換した。説明の概要は次のとおり。

1.輸出拡大

JAグループは、新たな需要を開拓するため輸出拡大に挑戦し、生産者の所得向上につなげていく。主な対象国・品目は東南アジア(シンガポール、香港、台湾)向けの青果物・コメ・牛肉、EU・米国向けの牛肉・コメである。中国は魅力的な市場だが、検疫制度等の解決に政治的な対話が必要だ。

具体的な取り組みとして、全国農業協同組合連合会(全農)は、海外スーパー等に専用の売り場(棚)を設置してテスト販売を実施している。また、香港・台湾等4都市の約200の常設棚において、各地JAの生産物をリレー栽培により通年で供給し得る体制を整備している。また、鮮度保持や輸送コストの低減のため、新資材の導入や共同配送を促進するとともに、コメの輸出拡大に向け、専用産地づくりを進めていく。

今後は、JAグループ全体で輸出拡大に向けた取り組み体制を一層強化するため、貿易事務やノウハウ等をワンストップで提供する「輸出促進エージェント」(仮称)の設立も検討している。

2.政策提言

政府はTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の締結を受けて、今秋にも「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂することとしている。そこでJAグループでは、9月にも政策提言を取りまとめる。キーワードとして、販売では流通コストの低減やGI(地理的表示)の積極的活用や輸出の促進、生産資材では肥料銘柄の集約やジェネリック農薬、農機のシェアリング・リース等を検討している。

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続く懇談では、出席した企業から、海外企業との連携による販売力強化、国内におけるGAP(農業生産工程管理)制度の統一化、輸出者のリスク軽減の仕組みづくり等、JAグループの今後の取り組みについて意見が寄せられ、全中幹部は「今後検討していく」と応じた。

【産業政策本部】