Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月15日 No.3285  第4回「企業による農業参入セミナー」を開催

あいさつする十倉副会長
・農業活性化委員長

講演する農テラス代表の山下氏

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で、九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)と「企業による農業参入セミナー」を共催した。

同会合は、企業の農業参入の検討を直接促す機会として、2013年から毎年開催しており、4回目となる今年は、東京および九州の企業関係者約170名が参加した。

冒頭、十倉雅和副会長・農業活性化委員長は、「わが国農業を地域経済の活性化を牽引する基幹産業として、先端・成長産業への変革をさせるためには、企業の参入が必要」と指摘したうえで、経団連として、経済界と農業界のマッチング等を通じて、積極的に後押ししていくと述べた。特に九州については、「企業の地域農業の担い手として位置づけて参入を支援している」として、企業参入の促進に期待を示した。

続いて、これまで約50社の農業参入支援を行ってきたコンサルタントである山下弘幸・農テラス代表取締役が、「企業の農業の始め方」と題して、参入に必要な準備と具体的な事例について講演した。山下代表は、「農業への参入を成功させるには、農業経営、流通販売、生産技術の3つをバランスよく保つことが不可欠。日本の農業は最初の2つが弱い」と指摘。クリーニング業、製造業等のさまざまな業種からの参入事例に関し、その失敗・成功要因について紹介したうえで、「ヒト・モノ・カネ・情報と、準備・生産・加工・販売・経営をマトリックスで考え、各分野の専門家と連携して対応することが重要」と強調した。さらに、「日本の『胃袋』は小さくなるが、商圏としてアジア全体をとらえていけば、チャンスが広がる。企業にも、農業参入の第一歩を踏み出してほしい」と企業への期待を示した。

続く質疑では、農地の取得が困難との指摘に対し、「企業参入の自由化と、農家の農地に対する歴史的な考え方が矛盾を起こしている。皆さんからよいアイデアを得て解決にあたりたい」と述べる一方で、「国土の少ない日本においては、狭い面積でも可能な施設園芸で高付加価値作物を育て、フランチャイズ展開するのが現実的ではないか」との考えも示した。

その後、熊本県、大分県および九経連の担当者が、九州各県における農業の概要や企業の参入事例を紹介。初期投資に対する資金支援、販路開拓支援、ワンストップの相談窓口の設置等の支援策を説明したうえで、参加企業へ参入の積極的な検討を促した。

最後に、小池光一九経連副会長・農林水産委員長は、「若者に農業に参入してもらうためには、規模の拡大や6次産業化によって、農業を儲かるビジネスにすることが不可欠。企業の参入に強く期待している」と締めくくった。

【産業政策本部】