Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年10月6日 No.3287  温室効果ガス削減に向けた長期イノベーション戦略で意見交換 -エネルギー・環境イノベーション戦略に関する懇談会

経団連は9月20日、東京・大手町の経団連会館でエネルギー・環境イノベーション戦略に関する懇談会(座長=須藤亮未来産業・技術委員会企画部会長)を開催し、内閣府の梅北栄一政策統括官付企画官から、エネルギー・環境イノベーション戦略について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「2℃目標」の実現に向け、イノベーションを重視

内閣府は、昨年末に開催された地球温暖化対策本部やCOP21での安倍総理の表明を受け、今年4月にエネルギー・環境イノベーション戦略を策定した。パリ協定に盛り込まれた「2℃目標」の実現には、各国が提出した約束草案をすべて積み上げても、さらに世界の温室効果ガス排出量を約300億トン超削減する必要があり、世界全体で抜本的な排出削減のイノベーションが不可欠である。そこで世界的な温室効果ガス排出削減への取り組みを日本がイノベーションで主導し、経済成長と両立させながら世界全体の排出削減を目指す。

■ 戦略の対象となる有望技術の特定

戦略の対象となる排出削減技術

同戦略は、Society 5.0の到来を前提に、2050年を見据え削減ポテンシャルが大きい有望な革新技術を特定した(図表参照)。選定にあたっては、従来の延長線上の技術ではなく非連続的で、大規模導入により大幅な削減が期待できることや、実用化まで長期間を要すること、かつ日本の優位性が発揮できる技術に絞っている。

■ 研究開発体制の強化と今後の取り組み

同戦略の全体統括は、総合科学技術・イノベーション会議が行う。ステージゲートを設置し、技術シーズの発掘と評価を戦略的に行うほか、途上国や新興国への導入を見据えた国際標準化など国際連携を推進する。今後は、同会議のもとにワーキンググループを設置し、具体化に向けた話し合いを進めていく。

<意見交換>

続く意見交換では、長期的技術開発へ産業界の参加を促すための施策について、経団連側から「研究成果目標を明確に示すことが必要」「研究開発から標準化までパッケージで取り組み、業種横断的なイノベーションを進めるべき」などの意見が出された。

【産業技術本部、環境エネルギー本部】