Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年11月24日 No.3294  「東大・経団連ベンチャー協創会議」発足

左から東京大学の渡部産学協創推進本部長、保立理事・副学長、五神総長、
経団連の根岸委員長、永里部会長、髙橋部会長

経団連の起業・中堅企業活性化委員会(根岸修史委員長、立石文雄委員長、泉谷直木委員長)と東京大学は16日、「東大・経団連ベンチャー協創会議」を発足し、同日第1回総会を開催した。同会議は日本の競争力強化に向け、革新的な技術や社会システムを提供するベンチャー企業を、東京大学と経団連が連携して創出・育成することを目指すもの。

現在、「Society 5.0」とも呼ばれる産業構造の大変革時代が到来しており、新たな基幹産業の創出に向けた「インパクトある事業」を創出し続けるためには、産学の壁を越えた本格的なオープンイノベーションが重要である。その際、企業・大学の個別連携に限らず、新たな産業創造の担い手たる「ベンチャー」を通じ、最先端技術の社会実装を進める機能の確立が必要である。そこで東京大学と経団連は、双方の幹部層による対話の場を定期的に開催し、相互の組織的な連携プロジェクトの組成、ベストプラクティスの確立に向けた活動を行うこととした。

当面は、東京大学と企業等の連携を通じ、優れた技術を持つベンチャーが研究開発と事業化のギャップである「死の谷」を超えるための起業前・シード・アーリー段階から起業支援・成長支援プログラム等を提供する。さらには、大学教職員や経団連会員企業に対し、事業化に必要なビジネス面でのスキル習得に向けて、起業家人材育成プログラム等も実施する予定である。

東京大学では、十数年前から大学発ベンチャー企業の育成に精力的に取り組んできており、関連するベンチャー企業は計約280社(2016年11月時点)に上り、このうち16社が上場、これらの時価総額は1兆円を超える規模へと成長している。また経団連でも、イノベーションに資する新興企業の創出加速に向け活動しており、直近では15年12月に提言「『新たな基幹産業の育成』に資するベンチャー企業の創出・育成に向けて」の公表や、地方のベンチャー企業と連携した取り組みを進めている。両者は今後、同会議を中心に新たな基幹産業の創出に資するベンチャー企業の創出・育成に向けた産学官連携のベストプラクティスづくりを進め、他の大学・幅広い企業等への展開を目指し、一層の協力を進める。

なお発足にあたり同日開催した総会においては、東京大学の五神真総長、保立和夫理事・副学長、渡部俊也産学協創推進本部長を中心とする各学部の幹部、ならびに経団連起業・中堅企業活性化委員会の根岸委員長、泉谷委員長、髙橋誠企画部会長、未来産業・技術委員会の永里善彦部会長をはじめとする企業関係者において、大企業・大学・ベンチャーの連携進化に向けた活発な議論を行うとともに、双方での活動方針等を定めた覚書を締結した。

【産業技術本部】