Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年12月1日 No.3295  人工知能に関する施策動向をめぐり意見交換 -人工知能技術戦略会議の安西議長、久間顧問が講演/未来産業・技術委員会

経団連は11月7日、東京・大手町の経団連会館で未来産業・技術委員会(内山田竹志委員長、小野寺正委員長)を開催し、人工知能技術戦略会議の安西祐一郎議長(日本学術振興会理事長)、久間和生顧問(内閣府総合科学技術・イノベーション会議常勤議員)のほか総務省、文部科学省、経済産業省の幹部から、人工知能(AI)に関する政府の取り組みについて説明を聞き、意見交換を行った。

■ 人工知能技術戦略会議が司令塔として施策を推進

冒頭、安西議長から「第5期科学技術基本計画で掲げられたSociety 5.0の実現に向けて、人工知能の研究開発は肝である。人工知能技術戦略会議は、各府省でさまざまな人工知能関係の施策が進められるなか、それらの取り組みを先導する強力な司令塔として設置された」との紹介があった。

久間顧問からは「未来投資会議や総合科学技術・イノベーション会議とも連動する。これまでのように技術志向ではなく目的志向で、省庁連携のもと進める研究開発を検討していく」との所見が示された。

■ 総務省、文部科学省、経済産業省の施策動向

加えて、3省の幹部からそれぞれ説明があった。総務省の武田博之大臣官房総括審議官からは、人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップの策定について「研究連携会議や産業連携会議も設置し、学術界と産業界が密接に連携して議論していく」との表明があった。

経済産業省の保坂伸審議官からは、ロードマップについて、「産業構造の変化も念頭に、生産性、健康、医療・介護、空間の移動の4分野について社会課題の解決を目指したものにする」との発言があった。

文部科学省の板倉康洋審議官からは、人工知能にかかわる人材育成について、「企業では優秀な人材の獲得競争が進む一方、日本の大学では最先端の人工知能に関する教育時間数が少ないとの指摘があり、需要と供給のギャップをどう埋めていくかが課題である」との考えが示された。

<意見交換>

意見交換では、内山田委員長が「省庁連携での検討体制が始まったことを評価しており、スピード感と柔軟性を持った取り組みを期待する。産業化ロードマップの実行にあたっては、産業化の出口を見据えたプロジェクト志向の強いSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)やImPACT(革新的研究開発推進プログラム)のような政府研究開発プロジェクトを参考にしてほしい」と、産業界を代表して意見を述べた。そのほか、データ利活用促進に向けた環境整備や人材育成などをめぐり活発な意見交換が行われ、官民連携の重要性について認識を共有した。

【産業技術本部】