Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月16日 No.3304  関西会員懇談会を大阪で開催 -「GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける」をテーマに

経団連は1月31日、大阪市内で「関西会員懇談会」を開催した。榊原定征会長はじめ審議員会議長、副会長らが出席し、関西地区からは会員約450名が参加。「GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける」を基本テーマに懇談した。

開会にあたり榊原会長は、デフレ脱却と経済再生が国内最大の課題であるとしたうえで、2017年を「景気回復の足取りをより確かなものとするための正念場の年」と強調。政府に構造改革の推進を働きかけるとともに、経団連としても、賃金引き上げや「官民戦略プロジェクト10」の実現に努めるとの決意を表明した。また、ナショナリズム、保護主義の流れに対する懸念を示したうえで、各国経済界との連携を強め、自由で開かれた貿易・投資の意義を各国首脳に訴えていく必要性を強調した。

■ 関西経済の活性化

その後の懇談では、まず「関西経済の活性化」について、森詳介関西電力相談役が2025年の国際博覧会の誘致、リニア中央新幹線や北陸新幹線の大阪延伸の早期実現に向けた取り組みを紹介。山中諄南海電気鉄道会長は、訪日外国人旅行者数が順調に増加している流れを促進するための施策として、訪日外国人受け入れ環境整備の加速、カジノを含めたIR(統合型リゾート)の関西誘致について説明した。

これに対し、(1)関西はIR整備の重要な候補地の1つであり、受け入れ体制の充実、マーケティングの強化、高付加価値ツーリズムの育成も重要(岩沙弘道審議員会議長)(2)万博は世界にアピールする絶好の機会であり、「2025年国際博覧会検討会」において、世界を魅了するイベントになるよう仕立てたい(古賀信行副会長)(3)経済活性化の基盤づくりには、持続的にベンチャー企業が生まれ育つ「エコシステム」の構築、多様な人材が活躍できる柔軟な働き方の実現が有効(國部毅副会長)(4)GDPの約6割を占める個人消費の喚起に向け、2月から始まるプレミアムフライデーの定着に協力を(石塚邦雄副会長)――と応じた。

■ 産業競争力強化

続いて「産業競争力強化」について、木股昌俊クボタ社長から、農業の生産コスト低減に向けた取り組みとして、低価格製品の充実、効率的な栽培方法の普及、IT化の推進、地域・異業種との連携強化などを紹介。手代木功塩野義製薬社長は、健康・医療産業の振興には製品化に至るまでの支援充実が不可欠としたうえで、特区を活用した規制緩和、リスクマネーの確保、産学官連携における相互理解の促進の重要性を指摘した。

これに対し、(1)魅力ある農業を実現するには、ICTやロボットによる生産性向上が不可欠であり、経済界と農業界との連携を後押ししていく(内山田竹志副会長)(2)「Society 5.0」の実現に向け、政府ではすべての国民健康データを匿名化し、アクセス可能な共通データとするオープンデータ化を目指している(中西宏明副会長)(3)人口減少を諸課題解決のチャンスととらえ、働き方・休み方改革に取り組むとともに、賃金引き上げのモメンタムを今年も継続する必要がある(木村康副会長)――と応じた。

最後に榊原会長が、デフレ脱却と経済再生に向けて、企業こそが経済成長を担う主役であるという自覚と気概を持ち、役割を果たすことが重要であるとしたうえで、関西地区会員に引き続きの支援を呼びかけた。

【関西事務所】