Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月2日 No.3306  宇宙産業の競争力強化に向けて意見交換 -宇宙開発利用推進委員会

経団連は2月7日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)を開催した。内閣府宇宙開発戦略推進事務局の高見牧人参事官と松井俊弘参事官から、宇宙政策の進捗状況について説明を聞くとともに、宇宙産業の競争力強化策に向けた意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 宇宙政策の進捗状況

昨年11月に宇宙活動法と衛星リモートセンシング法(通称=宇宙二法)が成立した。宇宙活動法は、民間の宇宙事業参入を見据え、人工衛星の打ち上げ・管理の許可手続きや安全基準等を定めたものである。衛星リモートセンシング法は、高性能な衛星画像等が国際テロリスト等に流出しないよう、国が許可・監督を行う基準を定めたものである。また昨年は、宇宙デブリ(宇宙ゴミ)との衝突等を回避するために必要な宇宙状況監視体制の構築に着手した。

2015年1月に策定した宇宙基本計画に関しては、付随する工程表を毎年度改訂している。今年度の改訂では、宇宙状況監視体制の構築をはじめとする個別プロジェクトの検討の具体化・加速、宇宙システムの海外展開の推進、宇宙産業の振興に向けた宇宙産業ビジョンの取りまとめを盛り込んだ。

改訂案を審議した宇宙開発戦略本部の会合では、安倍総理から、(1)宇宙二法の成立を受け、新たな民間宇宙ビジネスの創出・拡大を進める(2)サイバーセキュリティと表裏一体である宇宙システムを強靱なものにする(3)わが国宇宙システムの海外展開を進める――旨の発言があった。

■ 宇宙産業の拡大に向けて

宇宙産業の拡大に向けては、機器産業と宇宙で得た情報を利用する産業を一体的に展開することが必要となる。

宇宙機器産業については、市場ニーズを踏まえた開発を進めて競争力を強化するとともに、需要拡大が見込まれるアジアを中心に戦略的に海外展開を進め、成長の好循環を形成することが求められる。

宇宙利用産業については、(1)継続性のある衛星データがそろっていない(2)データの所在がわかりづらい(3)データの加工に専門性や多くのコストが必要となる(4)データを解析してソリューションを提供するサービスの規模が小さい(5)市場が立ち上がるまでの間に安定した需要がない(6)エンドユーザーが十分宇宙を活用していない――という課題がある。

こうした課題を解決し、わが国の宇宙産業の競争力を強化できるよう、宇宙産業ビジョンを検討している。経済界と連携しながら取り組んでいきたい。

【産業技術本部】