Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年6月8日 No.3318  LGBTをはじめとする人権問題について意見交換 -ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際理事との懇談会開催

エルマスリー共同会長

経団連の女性の活躍推進委員会、ならびに企業行動・CSR委員会は5月24日、企業市民協議会(CBCC)との共催により、東京・大手町の経団連会館で、世界有数の国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」の国際理事との懇談会を開催した。経団連からは二宮雅也企業行動・CSR委員長/CBCC会長をはじめ、中川順子女性の活躍推進委員会企画部会長ら25名、HRWからハッサン・エルマスリー共同会長やボリス・ディトリッヒLGBTの権利プログラムアドボカシーディレクター、土井香苗日本代表ら25名が参加し、LGBTをはじめとする人権問題について意見交換した。

冒頭、二宮会長があいさつし、経団連やCBCCによるCSRの取り組みや人権問題への対応について紹介するとともに、中川部会長から、5月16日に公表した日本の経済界初となるLGBTへの対応に焦点を当てた提言「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」の概要を説明した。その後HRWから活動内容について説明があった。

■ HRWのミッション

エルマスリー共同会長は、HRWの役割や組織について「HRWのミッションは世界中の弱い人々を支えることであり、あらゆる人権問題について徹底した調査・メディアへの報告・政策提言やアドボカシー活動を行っている。HRWはいかなる政府からも資金援助を受けず独立した民間組織である」と説明した。

■ LGBTの問題は世界共通の課題

続いて、土井日本代表は、「8年前に東京に事務所を設立し、さまざまな人権問題を取り扱っている。LGBTの問題は、その重要な柱の1つである」と説明。LGBTの人々は世界中で差別や嫌がらせ、暴力や殺害、また刑事処罰までも受けており、世界共通の課題だと考えている。今回、経団連が経済界として初となる提言を出したことに心から感謝する」と述べた。

■ 反差別法を導入すべき

さらに、オランダの国会議員として2001年に世界初の同性婚合法化を実現したディトリッヒLGBTの権利プログラムアドボカシーディレクターは、LGBTの労働者の権利について、「われわれのビジョンはLGBTがすべての社会・企業で自分を隠すことなく、受け入れられる存在になることである。LGBTの労働者は、安全で平等な環境で働くことで自分を隠すことに労力を使わなくてすむ。そうすると、よく働き、クリエーティブになり、他の労働者を刺激することにつながる。企業側としても、LGBTの人々を受け入れ、支援に積極的であることが、有能な人材の採用において武器になる」と説明した。また、欧州を中心に進みつつある反差別法を日本も導入すべきだと指摘。世界では、経営者団体、労働者団体が市民社会と協力して政府に働きかけた結果、導入に成功した事例などは参考になると語った。

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意見交換では、LGBTに加えて、外国人材、女性の活躍などのダイバーシティへの取り組みについて、活発な意見交換が行われた。

【政治・社会本部】