Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月3日 No.3326  憲法改正について -保岡自民党憲法改正推進本部長が講演/総合政策特別委員会企画部会

講演する保岡議員

経団連は7月6日、東京・大手町の経団連会館で総合政策特別委員会企画部会(藤川淳一部会長)を開催し、自由民主党憲法改正推進本部長の保岡興治衆議院議員から、憲法改正に関する基本的な考え方や論点について講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ 憲法改正に関する基本的な考え方

憲法の基本三原則である国民主権・基本的人権の尊重・平和主義は、国民生活にしっかりと定着し、見事に日本の姿かたちとなっている。この三原則を堅持しつつ現行憲法の自主的改正を行うことが、自民党立党以来の党是である。

安倍総裁は今年5月3日、現行9条をそのまま残しつつ、自衛隊を憲法に明記することを提案した。憲法改正については、2000年の憲法調査会設置以来、超党派で議論を進めてきたが、その必要性や趣旨を国民に対して具体的に明確にする段階にきている。

党の憲法改正推進本部では、自衛隊、教育無償化、緊急事態条項、1票の格差・合区解消を優先的なテーマとして議論を進めている。憲法は全国民のものであり、また、改正にあたっては国民投票を経ることからも、国民主体で考えなければならない。自民党が率先して案を提示し、国民にわかりやすい活発な議論につなげたい。

■ 論点について

(1)自衛隊の明記

自衛隊は国の存立や国民の安全のために命を懸けて活動し、国際的にも高い評価を得ている。国民の多くも自衛隊を信頼している。その一方で、自衛隊は違憲であると考える学者もいる。安倍総裁の提案は自衛隊が合憲であることを明確にし、このような考え方を払拭しようとするものである。

(2)教育無償化

教育の無償化については、憲法を改正する場合、義務的規定を設ける部分と、理念的なプログラム規定にとどめる部分とがあると考える。義務的な部分については財源の支出が前提となるので、国民負担の公平・公正という観点も含め、議論を積み重ねていきたい。

(3)緊急事態

大災害や有事の際、国の存立や国民の生命・身体を守る観点から、緊急政令や総理・政府の指示といった、平時の法制ではできない権限行使が必要ではないかという問題である。また、災害等により国政選挙ができない場合に備え、国会議員の任期延長等を、憲法上手当てする必要もあるのではないか。

(4)1票の格差・合区解消

地方の国会議員が少なくなるなか、国民主権の正当なプロセスや質を確保する観点から、選挙区を考える要素として、例えば都道府県といった地域性を憲法に明記する必要があるのではないか。

【経済基盤本部】