Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月31日 No.3328  住田知的財産戦略推進事務局長から「知的財産推進計画2017」の概要を聞く -知的財産委員会

経団連は7月31日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会 (日覺昭廣委員長、近藤史朗委員長)を開催し、内閣府知的財産戦略推進事務局の住田孝之事務局長から、5月16日に公表された「知的財産推進計画2017」の概要について説明を聞き、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

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「知的財産推進計画2017」は、「Ⅰ.第4次産業革命(Society 5.0)の基盤となる知財システムの構築」「Ⅱ.知財の潜在力を活用した地方創生とイノベーション推進」「Ⅲ.2020年とその先の日本を輝かせるコンテンツ力の強化」から構成される。

「Ⅰ」では、データやAIの利活用促進に向けた知財制度の構築が重要なテーマである。データの持ち主に強い権利を付与するのではなく、利用権限については当事者間の契約で対応することとし、データの不正取得の禁止等については次期通常国会での不正競争防止法改正を目指す。また、AIの利活用促進の観点も踏まえ、著作権法における柔軟性のある権利規定を整備し、今秋の臨時国会での同法改正を目指す。

知財システムの基盤整備については、標準必須特許に関するADR制度導入に向けて、通常国会での特許法改正を目指す。知財訴訟に懲罰的賠償制度の導入を求める意見もあるが、民法との関係で難しい。適切な損害賠償額の算定には、知財価値の適正な評価が重要であり、こうした観点から検討を行う。

「Ⅱ」では、日本の農産物の競争力確保ための知財の活用、地方・中小企業における知財の活用、知財教育や知財を担う人材育成といった課題についての施策を記載している。

「Ⅲ」では、コンテンツの海外展開の促進、映画産業の振興、デジタルアーカイブの構築といった課題についての施策を記載している。

こうした個々の施策を講じるとともに、第4次産業革命、Society 5.0といった大きな社会変動が起こるなか、知財をどう活用するのか、どのようにビジネスにつなげるのかという観点から、中長期的なビジョンを考えていきたい。

<意見交換>

説明の後の意見交換では、委員から、「標準必須特許のADR制度の導入には懸念もあり、企業の意見をよく聞いて対応してほしい」「ほぼすべての雑誌を無料で読めるといったコンテンツの違法サイトについて、取り締まりを強化してほしい」「データの不正取得の禁止等の不正競争防止法改正では、データの利活用を阻害しないよう、違法行為を限定してほしい」といった意見が出された。

【産業技術本部】