Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月31日 No.3328  デジタル・ガバメントの推進について聞く -行政改革推進委員会企画部会

経団連は7月31日、都内で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)を開催し、内閣官房IT総合戦略室の奥田直彦参事官から「デジタル・ガバメントの推進」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 官民データの活用による新たな社会の実現

昨年12月、国や地方公共団体、事業者等が管理・利用・提供するデータの活用に関する施策の総合的・効果的な推進を通じて、国民が安全・安心に暮らせる社会と快適な生活環境を実現することを目的として、「官民データ活用推進基本法」が施行された。同法に基づき、今年5月30日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」では、「データがヒトを豊かにする社会」の実現を目指し、8つの重点分野((1)電子行政 (2)健康・医療・介護 (3)観光 (4)金融 (5)農林水産 (6)ものづくり (7)インフラ・防災・減災等 (8)移動)を指定した。このうち、電子行政分野では、行政手続等における戸籍謄抄本等の提出不要化や、オープンデータの促進に向けた国等が保有する行政データの棚卸し等の施策を重点的に講ずることが明記されている。重点分野の施策については、2020年を1つの区切りとして随時、PDCAサイクルを回し、計画を見直しながら進めていく予定である。

■ デジタル・ガバメント推進方針

これまでの取り組みにより、政府情報システム改革(システム数や運用コストの削減)やIT化・業務改革の推進、国・地方を通じたシステム改革(自治体クラウドの導入推進等)で成果を挙げてきた。この過程を通じて獲得したノウハウを活かし、これまで以上に国民・事業者の利便性向上に重点を置き、官民データの流通等に資する新たな取り組みを進めるため、「デジタル・ガバメント推進方針」(以下「方針」)を策定した。方針は、(1)デジタル技術を徹底活用した利用者中心の行政サービス改革(2)官民協働を実現するプラットフォーム(3)価値を生み出すITガバナンス――を柱として、今後の電子行政が目指すべき方向性を示している。

また、方針に基づき、行政サービスの効率化と利便性向上を加速するため、基本的方向や個別の取り組み等を記載した「デジタルファースト・アクションプラン」を策定した。具体的には、デジタル社会を念頭に置いた中長期的な視点で原則化された「行政手続IT化にあたっての3原則」((1)デジタルファースト (2)コネクテッド・ワンストップ (3)ワンスオンリー)が「基本的考え方」とされたほか、個別分野の具体的項目(住民税額特別徴収税額通知の電子化、株主総会プロセスの電子化等)が盛り込まれている。

■ 今後の取り組み

現在、各府省が所管する行政手続や行政が保有するデータの棚卸しを実施しており、調査結果を踏まえ、業務の見直しやシステム改革に取り組みたい。

また、年末を目途に策定する「デジタル・ガバメント実行計画」の内容や棚卸しの結果を踏まえ、各府省におけるデジタル・ガバメント推進の具体化を図るための「各府省中長期計画」を、来年上半期を目途に策定する予定である。

【産業政策本部】