Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月7日 No.3329  災害支援の民間ネットワーク組織の関係者と意見交換 -社会貢献担当者懇談会

経団連は8月8日、東京・大手町の経団連会館で社会貢献担当者懇談会(金田晃一座長、山ノ川実夏座長)を開催した。被災地域の支援に当たる民間ネットワーク組織として、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)の関係者を招き、それぞれの支援活動の報告を受けるとともに、今後のあり方について意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 支援Pの活動(阿部陽一郎中央共同募金会理事・事務局長)

支援Pは新潟県で起きた中越地震の災害ボランティア活動の検証作業を行ったメンバーが母体となって、2005年に設立された。中央共同募金会が設置主体で、共同事務局を務めている。

支援Pは、被災地の社会福祉協議会等が設置する災害ボランティアセンター運営支援のため、運営支援者派遣や資機材の提供をしている。7月に発生した九州北部豪雨の被災地支援においても運営支援者を派遣して人や物資調整をしている。現地では被災家屋の片付けなどで約10万人のボランティアが必要と考えられているが、これまで実際に活動したのは約3万人にすぎず、まだまだ支援が必要である。

あわせて、支援Pも含めて被災地で活動するNPOやボランティア団体に活動資金を助成する仕組みの検討も必要だと考えている。

■ JVOADの活動(栗田暢之代表理事)

東日本大震災の被災地支援では、約3000のNPO等が活動を行ったといわれるが、団体間の連携が不足していた。将来起こり得る南海トラフ地震、首都直下地震等に備えるため、NPO等が相互に情報を共有し連携するネットワーク組織が必要だと感じ、2016年にJVOADを立ち上げた。

JVOADは支援Pと連携しながらも、ボランティアセンターを受け皿としないNPO等をつなぎ、支援の「漏れ・抜け・落ち・ムラ」をなくすよう調整する。熊本地震では、現地で活動しているNPO等に呼びかけ、連携・協働を目的とした「熊本地震・支援団体火の国会議」を設置して、活動内容や情報の共有、調整を行った。

こうした支援者の役割や機能をより具体化・明確化する中間支援の役割に理解を得つつ、より多くのNPO等の活動状況を掌握し、広く発信していくことを目指す。

■ 被災地支援の現状と今後

  1. 支援Pの立場から(吉田建治日本NPOセンター事務局長)
    ボランティアセンターの運営支援では、近年、SNSアカウントやウェブサイトの立ち上げなど、情報面の支援が重要になりつつある。
    また、防災、復興街づくりなど災害支援以外を専門とするNPOに光が当たるようになった。平時から連携することで、災害時に強いまちづくりが実現できるだろう。

  2. JVOADの立場から(明城徹也事務局長)
    被災地域や住民の困りごとの把握と、現実に行われている支援活動の把握が重要である。これにより、支援のギャップや未解決の問題、取り残されている被災者・被災地が可視化され、企業やNPO等の支援者間で課題を共有しつつ連携して解決に当たることが可能になる。

【教育・CSR本部】