Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月14日 No.3330  地方創生に向けた施策をめぐり懇談 -地域経済活性化委員会企画部会

経団連は8月28日、東京・大手町の経団連会館で地域経済活性化委員会企画部会(田川博己部会長)を開催し、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の原田一寿参事官、経済産業省地域経済産業グループ地域未来投資促進室の田岡卓晃室長から、地方創生に向けた政府の施策について説明を聞くとともに懇談した。

原田氏は冒頭、地方創生関連施策について「地方創生は本格的な事業展開の段階に来ている。今年度は『まち・ひと・しごと創生総合戦略』の中間年であり、既存の施策に加え、地方創生に資する大学改革、遊休資産の活用などを推進し、地方創生の新展開を目指す」と強調。

意欲的に取り組む自治体への支援策として、情報支援である「地域経済分析システム(RESAS)」、市町村に国家公務員や民間人材などを派遣する人材支援である「地方創生人材支援制度」、地方創生に必要な人材の確保・育成を支援するため実践的な知識をeラーニング形式等で提供する「地方創生カレッジ事業」とともに、地方創生関連の予算措置等について説明した。

地方創生推進交付金については、「地方版総合戦略の事業推進段階にあるなか、2017年度予算では1000億円を用意した。加えて、今年度からは1事業当たりの上限額を引き上げるなど運用を弾力化した」と述べた。一方、その活用状況に関しては「地方創生先行型交付金の効果検証を開始した。今後、KPIの達成状況を踏まえて、次年度以降の交付金審査に反映したい」との意向を示した。

続いて田岡氏が地域未来投資促進法について説明。「本法は、各地域で観光やIT産業など、今後市場が大きく成長すると期待されている分野を中心に、高い付加価値を創出し地域経済への波及効果の高い事業プロジェクトの促進を目指すもの」と同法の趣旨を紹介。専門人材による人的支援、設備投資への減税措置、規制の特例措置等を準備するとともに、その関連施策として地域経済の今後の牽引役として期待される「地域未来牽引企業」を2000社程度選定し公表する予定であると説明した。

その後の質疑応答では、「KPIの達成率が6割というのは目標設定をはじめ課題があるのではないか」との指摘に対し、原田氏は「地方の努力は多とするが、額面どおりに受け止めてはいない。事業が2年目、3年目に入り、成功するかどうかを見極める時期に来ている。効果の有無についてはきちんとみていきたい」と述べた。

また、「地域未来牽引企業として国に選ばれることで、人材確保にもつながるとよい」との意見に対し、田岡氏は「大学等への情報提供も意識したい」と応えた。

【産業政策本部】