Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月28日 No.3332  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は9月25日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

榊原会長は、安倍総理の衆議院の解散表明に対する見解を示し、諸課題に関する経団連の考え方を説明。再来年10月予定の消費税率の引き上げについて、12年の3党合意の内容が変わるとしても、幼児教育の無償化や社会保障制度の充実に向けた安定財源の確保につながるとした。また、計画どおり消費増税を行い、社会保障制度の充実と財政健全化の方向性の強化を図ることは経済界の考えとも軌を一にすると述べた。

他方、財政再建は消費増税だけでなく、歳出改革、歳入改革、経済成長の3本柱で達成されるものであると説明。消費増税分の一部が社会保障制度の充実に向けた「人づくり革命」に活用されても、20年度のPB黒字化目標は総合的なかたちで堅持してほしいと述べた。また、経団連はかねてより社会保障制度の健全な運営と持続性の確保に向け、消費税率の10%台後半までの引き上げを提言しており、この考えを引き続き主張していくとした。

アベノミクスについては、20年間横ばいであったGDPが500兆円を大きく超え、税収は消費増税分を除いても約14兆円増加し、企業収益は拡大、雇用統計はじめ数多くの経済統計が改善するなど、大きな成果を挙げていると評価。また日EU EPAの大枠合意、日本主導によるTPP11など、地域間の自由貿易体制の整備に言及。世界経済や国際政治における日本のプレゼンスの高まりは、安倍総理の外交政策の大きな成果であり、評価すべきだと述べた。

ただし、現状の経済成長率は1.5%程度にとどまり、実質2%・名目3%の経済成長目標は未達、2%の物価目標も道半ばでデフレ脱却宣言に至っておらず、アベノミクスの総仕上げが必要との認識を示した。そのうえで、選挙戦を通じ、それに向けた政策を打ち出し、アベノミクスを完成させるよう要望した。

働き方改革関連法案については、解散総選挙による影響はあろうが、経済界としては、高度プロフェッショナル制度をはじめ、労基法改正案の早期成立に期待すると述べた。

政治との関係では、山積する政策課題を前に進めるため、自民党を中心とする与党の体制と安定政権の維持が重要との考えを表明。経済界としては、自由主義経済を柱に、経済政策、企業活動を促進する政策を推進する政党を支持するとした。また、国政において、政権担当能力・責任能力を持つ健全な野党が存在し、与党の政策に対峙していくのが健全な政治の姿であるとの認識を示した。

憲法については、北朝鮮の脅威が顕在化するなか、自衛隊のあり方を憲法に明記することは、国民から一定の理解を得られているのではないかと述べた。経済界としては、憲法改正の重要性を認識しつつも、経済を最優先とする取り組みを一貫して主張しており、この姿勢は不変であると述べた。

【広報本部】