Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月19日 No.3335  米日議員連盟メンバーと懇談

左からヴェラ議員、石原アメリカ委員長、キルマー議員

経団連は9月20日、東京・大手町の経団連会館で、米日議員連盟(ジャパン・コーカス)のメンバーであるデレク・キルマー米連邦下院議員(民主党、ワシントン州選出)ならびにフィレモン・ヴェラ米連邦下院議員(民主党、テキサス州選出)との懇談会を開催した。
両議員の発言の概要は次のとおり。

■ キルマー議員

北朝鮮問題の影響で、日米二国間において安全保障への注目が集まることは必然であるが、経済関係も非常に重要である。

ワシントン州は木材業が盛んであり、私の幼少期に日本の製紙会社が米国企業を買収して事業を行っていたことを鮮明に記憶している。今日では、多くの日本企業が進出し、雇用を創出している。

海外から投資を呼び込むうえで、質の高い労働力は重要な要素である。その意味で、職業訓練や高等教育に注力することが不可欠なことは、連邦・州、党派を超えた共通認識である。

経済的な困難に直面した場合の対策として、保護主義的措置に訴え、国境に壁を設けるといった政策が魅力的にみえることがある。しかしながら、より賢明なアプローチは、経済の変化に適応できるように、人材開発やインフラ投資等を通じて競争力を強化し、生活環境を改善することである。国際経済への関与を深めることや、国際規範に従うことも、そうしたアプローチの1つである。

■ ヴェラ議員

20世紀初め、テキサス州の稲作の競争力を高めるために日本から支援を受けた経緯があるが、そうした日本の貢献が十分に認識されていない。ここ10年で、日本の自動車産業がテキサス州に本部を置くようにまでなっている。また、メキシコ国境沿いのマキラドーラ(保税輸出加工地区)には、数多くの日本企業が投資を行っており、それらは米国およびテキサス州の経済にとっても非常に重要である。

米国への移民は各地で建設業や農業等に従事し、米国経済を支える重要な労働力となっている。移民に厳しく当たるのではなく、移民が今後も米国経済へ貢献し続けることができるようにすることが重要である。

北米自由貿易協定(NAFTA)については、再交渉の結果、基本的に現行の内容が維持されることを望んでいる。国境調整税が持ち出された際には、メキシコでも混乱が生じたが、今では議論にも上らない状況になっている。同様に、NAFTA再交渉についても、最終的には皆が受け入れ可能なものになることを期待している。

米国現政権の政策は、予測可能性が高くないという問題があるが、民主主義のもとで立法・司法が正しく機能することで、長期的には安定性が確保されるものと確信している。

【国際経済本部】