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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月16日 No.3339 第5回「企業による農業参入セミナー」 -九経連と共催

あいさつする十倉委員長

経団連は10月25日、東京・大手町の経団連会館で、九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)と「企業による農業参入セミナー」を共催した。

同セミナーは、企業の農業参入を直接促す機会として、2013年から毎年開催しており、5回目となる今年は、東京および九州の企業関係者109名が参加した。

冒頭、十倉雅和経団連副会長・農業活性化委員長は、「企業もまた農業の担い手として活躍することが重要だ」と強調。「足もとでは、直接参入の増加に加え、バリューチェーンの各所で企業との連携が急速に拡大している」と紹介し、企業の参入による農業の先端・成長産業化に期待を示した。

「強い農業をつくる」をテーマに
パネルディスカッションが行われた

続いて、「強い農業をつくる」をテーマに、新開章司福岡女子大学副学長の進行のもとパネルディスカッションを実施。まず、異業種から農業に参入する事例を検討した。東日本旅客鉄道の名川進事業創造本部地域活性化部門次長は、「地域が元気でないと鉄道会社も立ち行かなくなることから、地元とともに知恵を絞る『共創戦略』のもと農業に参入した。品目選定や販路拡大に時間はかかるが、地元との関係をしっかり構築することが不可欠だ」と強調した。また、鹿児島銀行の松元志朗地域開発部アグリクラスター推進室室長は、「基幹産業である農業を魅力ある産業にしたいと考え、畜産向け動産担保融資等を活用するとともに、新たなビジネスモデルの構築に向けて農業法人を設立した」と説明。同行の出資を受けて設立された春一番の吉満隆裕代表取締役は、「企業が農地を探すのは難しく、耕作放棄地しか選択肢がないケースもある。農地を有効活用する仕組みが必要だ」と述べた。

次に、農業の課題と今後の方向性について、松本武ファーム・アライアンス・マネジメント代表取締役が説明。世界市場を見据えた国際認証(グローバルGAP)の取得、物流耐性を踏まえた輸出産品の生産等の重要性を強調するとともに、「企業参入には既存の若い農業者とうまく連携することも重要であり、こうした選択肢も十分に考慮しながら第一歩を踏み出してほしい」と訴えた。

新開氏は「農業参入は地域活性化やノウハウの集積といったかたちで、本業にも効果をもたらす。企業参入・輸出拡大等、農業に明るい兆しがみえている」と総括した。

最後に、小池光一九経連副会長・農林水産委員長は、「農業の活性化には、新技術の導入、国際認証取得による輸出拡大、そして企業参入の促進といった施策が不可欠。経済界としても、グローバルGAPの取得支援はじめ、若い担い手が農業に参入し得る環境の整備に取り組む」と締めくくった。

【産業政策本部】

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