Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年12月14日 No.3343  提言「Society 5.0を実現するデータ活用推進戦略」を公表

経団連は12月12日、提言「Society 5.0を実現するデータ活用推進戦略」を取りまとめ公表した。

Society 5.0実現のカギはデータ活用にある。経団連の提言を受けて、昨年末、政府、自治体、企業のデータ活用を推進する「官民データ活用推進基本法」が制定され、今年に入ってそれに基づいた「基本計画」が策定された。次は計画を実行に移すべき段階である。

わが国産業界は、センサーやIoT等の強みを活かし、膨大なデータを蓄積している。蓄積した良質なデータをいかに収集、流通、活用し、新たなビジネスの創出や社会へのメリットの還元につなげるか。提言では、そのために官民に必要な取り組みをまとめている。

■ データ活用によって実現する社会

Society 5.0は、多種多様なデータの活用によって実現し、社会課題の解決や国民生活の利便性向上につながる。

提言では、課題起点で、災害対策、観光、ヘルスケア、金融、暮らし、ものづくり・物流の6分野を例にデータ活用によって実現する社会像を示している。

■ データ活用の推進に向けたカギ

それら社会像を実現するために共通する要件として、(1)必要なデータを入手できること(2)必要なデータを使えること(3)データビジネスが持続的に成立すること(4)社会に受け入れられること――の4つを挙げている。

(1)必要なデータを入手できる

公共データのオープン化に向けて政府で進められる官民ラウンドテーブルの継続と分野の拡大、とりわけ有用性の高い行政保有の個人データを民間で活用できる仕組みの構築、情報銀行などの新たなデータ流通の仕組みの活用が必要である。

(2)必要なデータを使える

データの権利や責任をめぐるトラブルを防ぎ、国民からの反発が起こらないような取り組みが必要である。データの権利責任関係の整理や、データの活用と保護のバランスに配慮した不正競争防止法の改正、個人情報にかかわるガイドラインの整備、紛争解決手段の検討を求めている。また、データフォーマットの標準化やデータ加工、セキュリティなどの技術開発も必要である。

(3)データビジネスが持続的に成立する

産業界に対して、経営層のデータ活用に対する理解を促進し、人材育成や社内の体制整備など必要な投資を行うこととともに、協調領域の明確化と拡大、企業間・異業種間の連携、国際標準化の推進を求めている。

政府に対しては、公益性の高い「災害対策」「ヘルスケア」分野等のデータ活用基盤に対する初期投資の実施や、実証実験の事業化・全国展開への後押しを求めている。

(4)社会に受け入れられる

データにかかわる「不安」や「不満」の解消に向け、官民一体での情報リテラシーの向上やデータ活用に対するメリットについての理解獲得が不可欠である。法制度の枠内でのデータ活用が許容される社会に変わらなければならない。

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産業界でも、データの活用を進めることで、革新的なサービスの展開による社会課題の解決、国民生活の利便性向上を図っていく。

【産業技術本部】