Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年12月14日 No.3343  「女性活躍の次なるステージに向けた提言」を公表 -攻めのウーマノミクスで未来を切り拓く

経団連は12月12日、「女性活躍の次なるステージに向けた提言~攻めのウーマノミクスで未来を切り拓く」ならびに「女性の活躍推進による成果・ビジネスインパクトの先進事例集」を公表した。

経団連ではこれまで、あらゆる人材がその能力を最大限発揮し、やりがいを感じられる「ダイバーシティ・インクルージョン社会」の実現に向け、女性の活躍推進、働き方改革、年齢を問わない人材の活用、高度外国人材の受け入れ促進、バリアフリー社会の実現、LGBTへの対応など、さまざまな取り組みを進めてきた。

特に、安倍政権の成長戦略の柱の1つでもある女性活躍は、経済界が政府と一体となって強力に進めてきた結果、着実に成果が出つつある。そこで今般、女性活躍にあらためて焦点を当て、経済成長に向けた女性活躍、いわゆる「ウーマノミクス」の意義を再確認したうえで、これまでの成果を具体的なデータに基づき整理し、さらに今後求められる施策を提言することとした。

■ Society 5.0における女性の活躍とSDGs

提言の冒頭では、Society 5.0の実現に向け官民一体の取り組みが進むなか、女性の社会進出が進むことは、SDGsの目標の1つであるジェンダー平等の実現のみならず、経済成長につながることを指摘した。具体的には、労働力不足の解消に加え、女性ならではの視点の活用や働きやすい環境の整備を通じたイノベーションの創出などのメリットをもたらすとともに、特に消費意欲旺盛な女性らの収入増加によって個人消費が拡大し、世界各国で「女性市場」という新たなマーケットを生み出すことが期待されるとした。

こうした「ウーマノミクス」の意義を再確認しつつ、女性活躍を通じた経済成長・社会的課題の解決を、わが国が先進国に先駆けて実現し、世界をリードしていくことが求められる。

■ 「攻めのウーマノミクス」の5つのイニシアティブ

今後求められる具体的な施策を「攻めのウーマノミクス」の5つのイニシアティブとして、次のとおり整理した。

  1. 新しい働き方=「新しい働き方」の実現に向け、「ダイバーシティ・インクルージョン」の経営カルチャーへの浸透、“アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)”の打破、ITの活用などによる柔軟な働き方や流動性の高い労働市場の実現と育児・仕事の両立支援に加え、理工系分野の女性人材や女性起業家の育成などをこれまで以上に推進することが重要である。

  2. 新しい市場=「女性市場」という「新しい市場」の創出・拡大に向けて、女性の多様なニーズやライフスタイルの変化に応えるべく、これまで以上にイノベーションを促進し、さまざまな商品・サービスを提供することが求められている。

  3. 新しい投資=昨今ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への注目が集まるなかで、わが国企業への「新しい投資」を拡大すべく、女性の活躍に関する企業の情報を自主的に開示することが求められる。

  4. 新しい外交=G7・G20や日米経済対話といった国際的な場で女性活躍の議論を深めるとともに、昨今増加しつつある各界の女性リーダー同士の交流を通じた「新しい外交」として、「女性による経済外交」を進めることが重要性を増している。

  5. 新しい生き方=柔軟な働き方やそれを促進する商品・サービスの提供と社会環境の整備を通じ、女性はもっと貪欲に、男性はもっと自由に、すべての人々が「新しい生き方」を手にすることが重要となる。

■ 会員企業における女性の活躍推進の状況

さらに、これまでの取り組みの成果を「見える化」すべく、会員企業に実施した「女性の活躍推進の成果・ビジネスインパクトに関するアンケート」では、女性役員・管理職が着実に増加しているほか、男性の家庭と仕事の両立に対する意識が高まっていることなどがわかった。企業の現場では、従業員のモチベーション向上、職場環境の改善などがみられており、今後はイノベーションの創出や市場の開拓など、ビジネスへの直接的な好影響が期待される。

「女性の活躍推進による成果・ビジネスインパクトの先進事例集」を公表

また、提言とあわせて公表された「女性の活躍推進による成果・ビジネスインパクトの先進事例集」では、各企業において、女性による新しい発想や取り組みが実際のビジネスにもたらした具体的な成果を整理した。こうした取り組みの普及を通じ、女性活躍の意義が、地域や企業の規模を問わず一層共有されることが期待される。

【政治・社会本部】