Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月1日 No.3348  関西会員懇談会を大阪で開催 -「GDP600兆円経済に向けて邁進する年に」をテーマに

あいさつする榊原会長

経団連は1月18日、大阪市内で「関西会員懇談会」を開催した。榊原定征会長をはじめ審議員会議長、副会長らが出席し、関西地区からは会員約450名が参加。「GDP600兆円経済に向けて邁進する年に」を基本テーマに懇談した。

開会にあたり榊原会長は、2018年は景気拡大のモメンタムを大きく加速し、デフレ脱却と経済再生を確固たるものとすることで、GDP600兆円経済に向けて邁進する年にしたいとの決意を表明した。そのためには、成長戦略の推進が不可欠であり、とりわけ、IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの革新技術を駆使して、Society 5.0を着実に推進することが重要だと指摘。これは国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)とも軌を一にしていると説明した。また、大阪・関西における25年万国博覧会の誘致実現に向け、オールジャパンの体制で努力すると述べた。

■ 関西経済の活性化に向けて

懇談では、まず「関西経済の活性化」について、角和夫阪急電鉄会長から、インバウンドの拡大に向けた交通インフラ整備の重要性について指摘があったほか、万博の誘致実現に向けた協力要請があった。また、和田勇積水ハウス会長は、ゼロ・エネルギー住宅や省エネリノベーションの普及促進など、サステナブル社会の実現に向けた住宅産業の取り組みを紹介した。

これに対し、(1)インバウンド拡大に向けて、空港・駅から観光地等へのアクセスを改善するとともに、外国語対応などの受け入れ体制整備や観光地の魅力発信に取り組むことが重要(岩沙弘道審議員会議長)(2)万博誘致の成功に向け、大阪・関西万博の国内支持者数の拡大、万博誘致ロゴマークの装飾(シティドレッシング)、各国要人への働きかけについて協力をお願いしたい(古賀信行副会長)(3)製造・生産工程にとどまらず、省エネ・低炭素型の製品・サービスを社会に提供することを通じて、ライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減に取り組むことが重要(木村康副会長)(4)関西地域の活性化に向けたきっかけのひとつとして、プレミアムフライデーを積極的に活用してほしい(石塚邦雄副会長)――と応じた。

■ 産業競争力強化に向けて

続いて「産業競争力強化」について、長勇椿本チエイン会長から「ものづくりのDNA」と題して、自社の取り組みやIoT活用などの今後の課題について紹介があった。また、小谷眞由美ユーシン精機社長は、FA(Factory Automation)メーカーとして、製品を通じて製造業の働き方改革をサポートするとともに、自社の業務効率化にも取り組んでいると述べた。

これに対し、(1)産業競争力の強化や社会的課題の解決に向け、産学官連携やサイバーセキュリティ対策を行いつつ、データの活用を強力に推進すべき(中西宏明副会長)(2)経団連では「長時間労働の是正」「年休の取得促進」「柔軟な働き方の促進」の3点について、会員企業の協力を得て、「働き方改革・アクションプラン」を策定する(岡本毅副会長)(3)働き方改革と労働生産性向上に一体的に取り組むとともに、多様な人材の一層の活躍推進を図ることで、イノベーションを創出する(工藤泰三副会長)――と応じ、永易克典副会長からは、経団連が昨年11月に改定した「企業行動憲章」においては、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱にしていると紹介があった。

また、松本正義住友電気工業会長は、万博誘致に向け、「企業の海外ネットワークを活かした誘致活動の強化」「関西以外の地域での機運の盛り上げ」の2つを意識して進めていきたいと述べた。

最後に榊原会長は、デフレ脱却と経済再生に向け、企業こそが経済成長を担う主役であるという自覚と気概を持って取り組むことが重要であるとしたうえで、関西地区会員にあらためて支援を呼びかけた。

榊原会長が懇談会後に記者会見

懇談会終了後、榊原会長が記者会見を行い、大阪・関西への万国博覧会誘致について次のとおり発言した。

昨年2月に誘致委員長に就任し、オールジャパン体制のもと、経済界の代表として誘致活動に取り組んできた。大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の策定にあたっても、オールジャパンの観点から、自分の考え・コンセプトを盛り込むことができた。昨年4月にBIE事務局で立候補の届け出を行い、6月にはBIE総会に出席、プレゼンテーションを行った。11月には誘致委員長代行の松本正義関経連会長と同副委員長の早川茂経団連副会長がBIEで誘致演説を行った。BIEを訪問した際は、必ず各国の駐仏大使等に向けた働きかけを行っており、私自身、これまで約40カ国の大使等と面会してきた。万博誘致は大阪・関西だけのプロジェクトではなく、オールジャパンのプロジェクトとして取り組んでいる。開催地が決定する11月のBIE総会まであと10カ月あまり、誘致獲得に全力で取り組んでいく。

日本の強みは3つあると考えている。第1にオールジャパンの体制が構築できていること。政府、政界、地元の大阪府・市、関西にとどまらない経済界全体など、すべての関係者が一体となった体制が構築されている。これは他の立候補国ではみられない。国を挙げた誘致活動を展開できているのは大きな強みである。第2に、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」として明確に定められ、Society 5.0を通じてSDGsを達成するという未来社会のコンセプトがきちんと打ち出されていること。万博はわが国が世界に先駆けてSDGsに取り組んでいることをアピールする絶好の機会になる。このテーマ、コンセプトについては諸外国からも共感を得ており、日本の支持につながっている手ごたえを感じている。第3に、開催地である大阪、関西の魅力である。その他の立候補地も魅力溢れた都市であるが、大阪はそのなかでも特に高い魅力を備えている。関西は、文化、芸術、伝統などの歴史的な資産に溢れているとともに、ものづくり、医療、ライフサイエンス等にかかる最先端の研究開発が行われるなど、イノベーションハブとしても機能している。こうした3つの強みを活かして誘致活動を推進し、何としても誘致を勝ち取りたい。

東京でも1年前に比べれば、万博の知名度は相当高くなってきた。経済界の関心は非常に高く、万博誘致は大阪・関西のみならず、日本全体の経済成長のために重要であるとの認識が共有されている。今後、誘致ロゴの普及などを通じて国民の間でも徐々に関心・機運が高まってくると期待している。賛同や署名を合わせた万博の支持者は40万人を超えており、これをさらに増やすべく、経団連でも会員企業への呼びかけを強化していく。

今は誘致を勝ち取ることに全力で取り組むことが重要であり、これに集中している。ただ、約1300億円とされる建設費についても、立候補前の段階で政府と協議し、国、自治体、民間で3分の1ずつ負担するということで合意ができている。具体的な資金調達のあり方については、いろいろな方策が考えられるので、誘致を勝ち取った後に政府と協議をしながら決めることになる。

【関西事務所、広報本部】