Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月1日 No.3348  お客様第一主義とは何かを考える -「第9回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/岡本圀衞副会長が講演

経団連は1月17日、女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、東京・大手町の経団連会館で「第9回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。吉田晴乃審議員会副議長・女性の活躍推進委員長をはじめ会員企業各社の女性役員22名が出席し、岡本圀衞副会長(日本生命保険会長)をメンターに迎え、講演を聞いた。講演の要旨は次のとおり。

■ 日本生命、生命保険業界について

当社の創立は1889年。戦後、戦争未亡人を営業に多数採用したこともあり、現在も従業員の9割が女性である。女性は厳しい状況のなかでも必死に頑張れるため、当社でも大成功を収める人は多い。女性に向いている会社である。

戦後、株式会社から相互会社になった。現在、相互会社の生命保険会社は少数派だが、それぞれのよさがあると思う。

生命保険も、時代に応じて変化した。かつては死亡保障がメインだったが、核家族化が進むなかで、自分のための保険として年金や医療保障が求められた。また、国の社会保障制度が厳しい状況において、民間保険会社が担う役割は増大している。

創業から128年間、5万人の営業職員によるface-to-face、長期的視点、お客様第一主義を大切にしてきている。

■ これまでの経験・軌跡

自分の経験のなかでのキーワードを7つ紹介する。

  1. 「それであなたの考えは?」
    30代での米国留学時に指摘された言葉である。独り善がりでは駄目。広い目(情報の量)、深い目(情報の深さ)、長い目(将来目線)で、情報を収集し、自分の考えを持つ土台をつくることが重要と考える。

  2. 覚悟を決めるときがある
    40~50代のころは、身体的にも精神的にも大変な時期だった。大きな経験をすることで自分の乗り越えられる容量が増え、覚悟を決めるようになった。

  3. 社会の声は天の声
    社長就任後、生保・損保各社の保険金不払いが社会問題となり、大きく取り上げられた。そこで、社会の声を世の常識と考え、システム・商品制度・営業スタイルを抜本的に変えた。具体的には、年に1回は全契約者を訪問する「ご契約内容確認活動」を営業職員の基本活動にした結果、今では定着し、信頼回復につながっている。お客様第一主義はだれでも唱えるが、具体的に突き詰めていくことが必要である。

  4. 「それはあなたの仕事です」
    女性の活躍推進において男性の育休取得が課題となったなかで人事担当に言われた言葉。物事を大きく変えるとき、トップが本気でやる気を見せ、号令をかける必要があるということ。自分が何かをやりたいとき、信念を持って上司を動かすことが重要である。

  5. 中間層を大切に
    中間管理職は、会社の実情が最も集積する情報の宝庫であり、戦略の核になる層である。中間管理職には「君たちは“中心”管理職だ」と伝えている。

  6. 平常心と好奇心
    社会が変動するなかでも大変と思わず、どっしりと平常心を保ち、むしろ千載一遇のチャンスと考え、好奇心を持って、飛び込んでいくことが大切である。

  7. 「檜になろう」が合言葉
    檜はまっすぐ伸びる。われわれもこうなりたいもの。よき企業人である前によき社会人たれ。企業で働く時間は、人生の重要な時期、その大半を使うのだから、実りのあるものにしてほしいと従業員に伝えている。

【政治・社会本部】