Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月15日 No.3350  対日直接投資をめぐる動向について聞く -産業競争力強化委員会企画部会

経団連は1月31日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会企画部会(齊藤裕部会長)を開催し、内閣府の西森雅樹企画官から「対日直接投資をめぐる動向と推進」について聞いた。概要は次のとおり。

■ 対日直接投資をめぐる動向

対日直接投資は、海外の優れた人材、技術、ノウハウ等を呼び込むことで、生産性向上や雇用創出などを通じ、わが国の経済成長に貢献するものである。「日本再興戦略2013」において、対日直接投資残高を2020年までに35兆円とする目標が掲げられており、16年末時点で27.8兆円まで積み上がっている。地域別では、欧州(13.6兆円)、北米(7.2兆円)、アジア(5.2兆円)の残高が多く、特にアジア地域の伸びが顕著である。

■ 日本のビジネス環境

経済産業省「欧米アジアの外国企業の対日投資関心度調査」(15年度調査)によれば、日本は、「R&D拠点」および「販売拠点」においてアジア地域のなかで第1位と高い評価を受けている。また、「地域統括拠点」や「バックオフィス」としての評価も近年上昇している。他方、対日直接投資のさらなる推進に向けた課題としては、「グローバル人材の育成」「外国語によるコミュニケーションの円滑化」「行政手続きの簡素化」等が挙げられている(「ジェトロ対日投資報告2017」)。

■ 対日直接投資の推進に向けた取り組み

政府では、14年から「対日直接投資推進会議」を開催し、以下のとおり外国企業の事業環境や日本で働く外国人の生活環境の改善に取り組んでいる。

(1)「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」
(15年3月対日直接投資推進会議決定)

(1)日常生活における言語の壁の克服(2)インターネットの接続環境の向上(3)地方空港のビジネスジェット受け入れ(4)海外から来た子弟の教育環境の充実(5)外国企業からの相談への対応強化――の5項目について、具体的取り組みを取りまとめた。そのなかで、日本に重要な投資をした外国企業に対し、副大臣等を相談相手につける「企業担当制」を創設した。

(2)「グローバル・ハブを目指した対日直接投資促進のための政策パッケージ」
(16年5月対日直接投資推進会議決定)

わが国が貿易・投資のグローバル・ハブとなることを目指し、研究開発力などのわが国の強みを発信し投資を呼び込む方策(広報・情報発信、外国企業と中小企業の提携支援、地方も含めたわが国への投資促進)と、外国企業進出の障害となっている課題の解決策(規制・行政手続の改善、グローバル人材の呼び込み・育成、外国人の生活環境の改善)を取りまとめた。

(3)「規制・行政手続見直しワーキング・グループ取りまとめ」
(17年4月対日直接投資推進会議「規制・行政手続見直しワーキング・グループ」決定)

外国企業の日本への投資活動や事業展開に関して、煩雑さが指摘されている規制・行政手続の見直しについて議論を行い、法人設立・登記関係、在留資格関係、行政手続のワンストップ化、外国語での情報発信・外国企業へのコンサルテーション、輸入関係等に関する具体的取り組みを取りまとめた。このうち、在留資格関係については、世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設し、高度外国人材の永住許可申請に必要な在留年数を大幅に短縮した。

【産業政策本部】