Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356  ゼイベクジ・トルコ経済相との懇談会を開催 -日本トルコ経済委員会

ゼイベクジ経済相(中央)と
山西委員長(左)、斎藤委員長(右)

経団連の日本トルコ経済委員会(山西健一郎委員長、斎藤保委員長)は3月13日、東京・大手町の経団連会館で来日中のニハト・ゼイベクジ・トルコ経済大臣との懇談会を開催し、トルコ経済の現状や二国間経済関係の発展に向けた方途等について説明を聞いた。1月末にアンカラで開催された日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第8回会合では、今後交渉ペースを上げることで両国政府が一致するなど、貿易・投資関係の一層の緊密化が期待されている。

ゼイベクジ経済相の説明の概要は次のとおり。

■ トルコ経済の現状

国民の平均年齢が31.7歳で、毎年100万人もの人口増加を続けるトルコは、若くダイナミズムに満ちた市場である。2017年には、G20のなかで中国やインドよりも高い平均7%の成長を記録した。

欧州諸国と異なり、製造業設備稼働率が81%と高いことや、中央アジアや中東ほか、言語・文化・宗教等の面で10億人もの規模のトルコ影響圏が近隣に広がっているのも特徴である。

他方、トルコ経済の課題として、高い経済成長等に起因するインフレが挙げられる。また、毎年120万人もの若年人口が労働市場に投入されるため、失業率を抑制することも重要な課題である。昨年は10.3%に低下したが、さらなる改善のためには年間6%の成長を継続する必要がある。

■ 非常事態宣言の実態

現在発動されている非常事態宣言は、16年7月のクーデター未遂事件を主導した国内政府機関などにおける特定グループ関係者を排除するための政府の取り組みの一環である。市民の日常生活や企業活動への影響はまったくなく、1日も早く解除できるよう願っている。

同宣言により16年の訪トルコ観光客数は著しく落ち込んだが、昨年は対前年比25%増の約3900万人まで持ち直すなど、治安が回復した現状を物語っている。

■ トルコの投資環境と日本企業への期待

一時期のネガティブな時期を脱し、トルコをめぐる状況は好転している。周辺国の経済成長が鈍化するなか、高くそびえるトルコ経済は日本の富士山になぞらえることができよう。

昨年の経済成長を牽引した推進力が民間投資であったことも踏まえ、民間企業の意見を聞きつつ、政府として大胆な構造改革を進めていきたい。

トルコでは、企業の規模や対象地域、産業セクター等に応じた投資助成制度を提供している。今後10年間で2500億ドル規模の旺盛なインフラ需要が見込まれるなか、日本企業にはとりわけ医療や交通、建設、石油化学、再生可能エネルギー等の分野への投資を期待している。投資を検討する企業には私が自ら面会し、土地の貸与や法人税減税、エネルギー支出に対する助成等の支援策を講じていきたい。

トルコ国民は日本に対して世界で一番好印象を抱いている。トルコとしてのグローバル・ブランドの確立を志向するなか、日本企業にはさまざまなインセンティブを活用しトルコに投資してもらうとともに、第三国への進出に際してトルコ企業との協業を検討してほしい。

あわせて、両国の貿易・投資関係を拡大するうえで重要なカギを握る日・トルコEPAの交渉が今年末までに合意に至るよう、引き続き支援願いたい。

【国際経済本部】