Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356  SDGsを通じたUNDPの民間連携について聞く -企業行動・CSR委員会企画部会

説明する近藤氏

経団連の企業行動・CSR委員会企画部会(小口正範部会長、森川典子部会長)は2月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、国連開発計画(UNDP)の近藤哲生駐日代表から、持続可能な開発目標(SDGs)とUNDPの民間連携について説明を受け、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ UNDPの役割、日本との関係

国連が有する3つのミッション「平和」「人権」「開発」のうち、UNDPは、「開発」に関する国連の中核機関である。約7400人の職員が世界約170カ国において、貧困の根絶や国家の仕組みの整備、災害などへの危機対応力強化、ジェンダーの平等など、途上国政府が単独で取り組みにくい社会的課題に対して、資金やノウハウの面から協力を行っている。

また、各国に駐在するUNDPの常駐調整官は、国連の各機関が現地で活動する際の窓口としての役割も有しており、現地政府や企業、市民社会と国連の関係機関とをつなぐインテグレーターの役割も担っている。

日本とUNDPの関係は深く、2016年のOECD開発援助委員会に参加する国のなかで、UNDPに対する拠出総額(UNDPの活動費と開発援助費を合わせた総額)は1位となっている。特に、アフリカ開発や国際保健、防災などの分野で世界をリードしており、UNDPとしても日本政府や企業との連携を深めていきたいと考えている。

■ UNDPのSDGs達成に向けた取り組み

SDGsは、国連機関と企業とが連携を図るための共通言語として有用である。そのため、SDGsの推進を掲げた経団連の企業行動憲章の改定は、企業と多様なステークホルダーとの連携促進につながり、その結果として既存の枠組みを超えたオープンイノベーションが加速することが期待される。

なお、UNDPのSDGs達成に向けた取り組みとして、「ビジネス行動要請(BCtA)」を推進している。これはオランダ外務省、スウェーデン国際開発協力庁、英国国際開発省、米国国際開発庁、スイス開発協力庁の支援を受けUNDPが事務局を務めている。開発途上国の低所得層を商品やサービスの消費者、生産者、供給者、販売者として取り込みながら、長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できるビジネスモデルを模索し促進する企業に対して、専門的なサポートを行う枠組みである。BCtAに参加を希望する企業は、年次報告が求められるが、UNDPなどの開発機関とのネットワークや国連など世界的な場での発表の機会を得ることができる。現在、67カ国で活動する200超の企業が参加している。

■ UNDPと企業との連携

企業にとってUNDPと連携することの最大のメリットは、新興国や途上国の社会的課題への知見、そして各国政府・自治体とのネットワークへのアクセスである。UNDPは、アジアの地方自治体が抱える社会的課題と企業の提供する解決策のマッチングを促進するプログラムを組成中である。自治体のニーズ次第では、インフラからスマートフォンのアプリまで多岐にわたる解決策が想定されている。また、通常では自治体の規制や条令によって事業進出・展開が困難な地域においても、UNDPとの協働を通じて、事業進出・展開が可能となり、事業を通じたSDGsの達成を進めることができるようになる。

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UNDPでは、経団連や社会的課題の解決に資するイノベーションを推進する日本企業と連携を図っていきたいと考えている。ぜひ日本企業には、UNDPの新興国や途上国等のネットワークや情報を活用してもらい、新たなビジネス展開を進めてほしい。

【教育・CSR本部】