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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月5日 No.3357 OECD・BIACの活動に関する懇談会開催

経団連は3月14日、東京・大手町の経団連会館でOECD・BIAC(Business and Industry Advisory Committee to the OECD)の活動に関する懇談会(座長=櫻田謙悟OECD諮問委員長)を開催した。外務省の山野内勘二経済局長から、グローバルなルールづくりに向けたOECDの役割や、日本政府との連携等について説明を聞くとともに、活発な意見交換を行った。また、江村克己BIACイノベーション・技術委員会副委員長と横澤誠BIACデジタル経済政策委員会共同委員長から、各BIACポリシーグループの最近の活動について報告を聞いた。概要は次のとおり。

■ 外務省説明要旨

新興国の台頭に伴い、OECD加盟国が世界全体のGDPに占める割合は、2000年の約8割から15年には約6割にまで低下している。その一方で、新興国も参加するG20諸国が世界のGDPに占める割合は8割以上で推移している。いまやG7諸国やOECD加盟国など、志を同じくする(like‐minded)国の間のみでグローバルに意味のあるルールづくりを完結することは困難となっている。

こうした文脈のなかで、OECDは加盟国ではない東南アジアの将来的な加盟も見据えた関与の強化や、G20等の国際フォーラムとの連携拡大を通じて、これらの新興国を取り込むかたちでグローバル・ガバナンスに貢献すべく取り組んでいる。

折しも来年にはわが国がG20サミットを大阪で開催する予定である。G20サミットには事務局と呼べる恒久的な組織体が存在せず、議長国は1年ごとに交代するが、G20におけるさまざまな議論をそこで終わらせるのではなく、G20がマンデート(権限)を与えて、具体的な取り組みや実施をOECDが支援していく、OECDにタスクアウトするといったかたちで、OECDを活用できると考えている。

G20日本サミットのアジェンダは未定であるが、ここ最近の世界経済をめぐる議論に鑑みれば、"inclusiveness"(包摂性)という概念が重要な論点になってくると思われる。所得格差などを背景に、各国は反グローバリズムや自由貿易体制の揺らぎに直面しており、政策当局として何らかの処方箋を提案することが重要と考えている。この点、外務省・日本政府としても、OECDとの連携を進めながら、来年のG20サミットの成功につなげたい。

なお、日本はOECD加盟国において米国に次ぐ第2位の拠出国であり、OECDの分担金の約1割を拠出しているが、日本人職員の割合は全体の5%に満たない。政府からだけでなく民間セクターからも優秀な人材を派遣できればと考えているので、ご協力をお願いしたい。

■ 意見交換要旨

経団連から、トランプ米政権による通商拡大法232条に基づく決定(鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税賦課)への対応について質問したところ、山野内局長からは、日本政府として遺憾の意を表明しており、引き続きさまざまな場で働きかけや議論を行っていくとの回答があった。また、G20サミットに向けて、官民が連携し、民間の知見も踏まえながら、オールジャパン体制で効果的なメッセージを発信していくという方向性を確認した。

【国際経済本部】

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