Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月5日 No.3368  「収益認識に関する会計基準の開発に伴う会計基準と法人税基本通達に関する説明会」を開催

経団連は6月6日、東京・大手町の経団連会館で「収益認識に関する会計基準の開発に伴う会計基準と法人税基本通達に関する説明会」を開催した。同会計基準について企業会計基準委員会(ASBJ)の小賀坂敦副委員長と川西昌博ディレクターから、法人税基本通達などについて国税庁課税部法人課税課の髙橋正朗企画専門官からそれぞれ説明を聞き、その後、質疑応答を行った。主な説明内容は次のとおり。

■ 収益認識に関する会計基準―ASBJ

国際財務報告基準(IFRS)と米国会計基準がほぼ同じ内容の収益認識基準を定め、この1月から適用が開始されたことを踏まえ、ASBJはこれらの国際基準を踏まえた包括的な収益認識基準を開発し、3月に公表した。

現在、同基準の早期適用が可能な状況となっており、2021年4月1日以後に開始する事業年度からは強制適用される。これにより、国内外の企業間における損益計算書のトップラインの比較可能性が高まることとなる。

従来、収益は「実現主義」により認識していたが、今後は「履行義務の充足」により認識することとなる点が、最も重要な変更点である。

具体的には、一定の期間にわたり充足される履行義務と一時点で充足される履行義務に区分して、収益を認識することとなる。

■ 法人税基本通達(収益認識に関する会計基準への対応)―国税庁

収益認識に関する会計基準の早期適用に合わせ、「平成30年度税制改正」において、法人税法等が改正された。これらを踏まえ、法人税基本通達の見直しを行い、5月31日付で発遣した。

改正法人税法では、新たに「資産の販売等に係る収益の計上時期および計上額を明確化する規定」が設けられた。また、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計上された収益を法人税法上の益金として算入すること(税会一致)を、これまでより、より明確化し、原則、税会一致の取り扱いを通達で明示した。

他方、収益認識に関する会計基準について、過度に保守的な取り扱いや恣意的な見積もりが行われる可能性にも対応し、同基準に従って計上された収益の額をそのまま益金として算入することを認めない取り扱い(税会不一致)も明示している。

また、新しい会計基準、法人税、消費税での処理が異なる場合があり、会計における収益の計上時期や法人税における益金の算入時期が後ろ倒しになっても、消費税では、従来同様、その取引時点において取引価格で課税売上を認識する事例が示された。

※ 収益認識に関する会計基準、法人税基本通達などに関する詳細説明は、以下を参照

収益認識に関する会計基準(ASBJ)
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0330.html

「収益認識に関する会計基準」への対応(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

【経済基盤本部】