Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月19日 No.3370  米国の投資誘致をめぐる動向 -ワシントン・リポート<43>

ロス商務長官あいさつ

米国商務省は6月20~22日に、首都ワシントンDC近郊の大型会議施設において、「Select USA INVESTMENT SUMMIT」を開催した。同サミットは海外からの投資を誘致する目的で米国政府として毎年開催している。概要は次のとおり。

■ 参加者の傾向

主催した商務省の発表によると、参加者総数は66カ国・地域および国内から3000人を超えて過去最大規模となり(2017年は64カ国・地域から2800人超の参加)、好調な米国経済も背景として投資先としての注目の高さを示す結果となった。国・地域別の参加者数では、台湾(125名)、中国(100名)、日本(97名)、インド(91名)、ルーマニア(43名)、スイス(42名)、韓国(36名)、ドイツ(35名)、イスラエル(31名)、ブラジル(31名)の順となっている。

一方で、地理的近さおよび経済関係でつながりの深いカナダ、メキシコからの参加者が多くなかったことは、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が少なからず影響を与えている可能性は否定できない。

■ 政府の主張

サミットの開会あいさつにおいてロス商務長官は、日本企業や各国企業の新規投資を具体的な金額も含めて紹介しつつ、現政権が減税、規制緩和、資源・エネルギーへの取り組みなどを通じて投資環境を整備している旨を説明した。また、連日にわたってパネルディスカッションのモデレーターを務めたほか、夕方からはワシントンDC内で各国大使や各州知事の主催するレセプションにも精力的に参加してあいさつするなど、広く投資を訴えて回る姿勢を示していた。

また、サミット期間中には、ムニューシン財務長官、ペリー・エネルギー長官、ポンペオ国務長官も登壇し、政権での取り組みを通じて米国が海外からの投資先として魅力的であることをそれぞれの立場から強調した。

■ 州政府の取り組み

今回のサミットで最も特徴的であったのは、州政府による投資誘致への取り組みが積極的であったことである。昨年、3日間のサミット会期中に登壇した州知事は2州にとどまっていたのに対し、今年は登壇順に、コロラド州、ネブラスカ州、ウィスコンシン州、ユタ州、アイダホ州、インディアナ州、ミシシッピ州、プエルトリコ、ケンタッキー州、オクラホマ州と、多くの知事が自ら熱心に誘致を訴える姿がみられた。会議場内に併設された展示場では、各州がブースを構えて投資環境を説明する場が設けられたほか、ビジネスマッチング会場では具体的な投資相談が数多く行われていた。

次回のサミットは、19年6月10~12日にワシントンDCで開催される予定である。

【米国事務所】