Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月26日 No.3371  第9回アジア・ビジネス・サミットをインド・ニューデリーで開催 -「包摂的成長」「イノベーション」テーマに議論

9カ国・地域から11の経済団体代表が出席

経団連は7月13日、インド工業連盟(Confederation of Indian Industry)とともに、インド・ニューデリーで第9回アジア・ビジネス・サミットを開催した。経団連からは中西宏明会長、飯島彰己副会長が出席した。同サミットは、経団連の提唱により2010年から毎年開催されており、アジアの主要国・地域の経済界のトップが一堂に会し、共通の課題への対応等について意見交換を行い、各国政府に提言を行うことを目的に共同声明を取りまとめている。今回は、9の国・地域から11の経済団体(注)の首脳が参加し、「包摂的成長」および「イノベーション」の2つのテーマについて活発な議論が行われた。

まず、開会セッションでは、インド工業連盟のチャンドラジッド・バナジー事務総長から、「アジア各国が現状認識を共有し、相互関係を強化することで、今後さらなる成長が可能となる。本日のような多国間サミットを通じ、アイデアを率直に交換しながら、アジア地域における包摂的な成長を実現したい」とのあいさつがあった。

続いて、中西会長が、「アジアは世界の成長センターとして主要な役割を果たしており、わが国にとっても魅力あふれる市場である。世界経済の新たなステージを創り出し、アジアが引き続き持続的成長を実現していくためには、自由貿易等を通じた包摂的成長や、多様性を通じたイノベーションの創出が重要。本日の議論を通じて、その重要性を世界に向けて発信し、各国の政治リーダーにわれわれの考えを伝えたい」とあいさつした。

セッション1「包摂的成長」では、世界的な反グローバリゼーションや保護主義の高まりが懸念されるなか、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化が必要であり、CPTPP(包括的かつ先進的なTPP)やRCEP(東アジア地域包括的連携協定)をはじめとするEPAおよびFTAの早期合意・実現や、包摂的成長を支えるためのインフラの整備に向け、アジア経済界が知見を共有することが重要であるとの議論があった。

あいさつするプラブー
・インド商工相

続くセッション2「イノベーション」では、イノベーションは包摂的成長の原動力であるとともに、産業競争力の強化やアジア地域が直面している共通課題の解決を図るうえで不可欠であり、アジア経済界はイノベーション推進に向けた協力を強化することが重要であること、また、イノベーションを支える人材の育成に向け、アジア諸国間の人材交流を促進するとともに、AIやIoTといったデジタル分野における教育を強化することが必要であるという認識を共有した。

また、昼食会にはインドのスレーシュ・プラブー商工大臣が来席し、「インド政府としては、本日参加しているアジア各国との経済関係をさらに強化したい」とのコメントがあった。

最後に、これらの議論を踏まえ、共同声明が取りまとめられた。なお、次回のアジア・ビジネス・サミットは、ベトナム商工会議所の主催により、来年ベトナムで開催することで合意した。今後とも同サミットを通じ、アジア各国・地域との経済交流が促進されることが期待される。

(注)経団連、インド工業連盟、韓国全経連、中国企業連合会、中国国際貿易促進委員会、シンガポール経団連、東亜経済協会(台湾)、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会、マレーシア日本経済委員会、ベトナム商工会議所

【国際協力本部】