Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年9月6日 No.3375  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は9月3日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は採用選考に関する指針について、経団連が指針を定め、日程の采配をしていることについて問題意識を持っていると指摘。企業が人材をどう採用し、どう育成していくかは極めて大事であるものの、終身雇用、新卒一括採用をはじめとするこれまでのやり方では成り立たなくなっているとの認識を示した。そのうえで、各社の状況に応じて、企業ごとに違いがあってしかるべきだと指摘、優秀な人材をいかに採用するかは企業にとっての死活問題であると強調した。

今後の指針のあり方については、こうした問題意識も踏まえて、経団連で議論することになると言及。日程のみでなく、採用選考活動のあり方から議論したいと述べた。また、就職活動の現状について学生がどう感じているか、真摯に耳を傾けることも必要だとした。

設備投資が拡大していることについては、人手不足が深刻化するなか、経営者としては省人化に向けた投資を増やすこと、デジタル化が急速に進むなか、それに関連する投資が増えることも当然だとの認識を示した。

経団連がかつて導入を要望していたサマータイムについては、気象一つとっても当時とかなり状況が異なっており、あらためて議論する必要があると指摘。東京オリンピック・パラリンピックは必ず成功させなければならないが、暑さ対策の点ではサマータイム以外にも方策があるとした。

外国人材の受け入れをめぐっては、日本社会の同質性が弱点になりつつあり、多様性のある社会を推進していくべきだと指摘。単純に人手不足だから受け入れということではなく、組織に多様性がなければグローバル化推進に向けた知恵は出てこないと述べた。一方、産業によって事情が異なることも事実であり、外国人材の受け入れに向けてどのような制度が必要で、どう準備をするのか、経団連でも見解をまとめていくと述べた。

NAFTA再交渉については、現状どおり三カ国の枠組みで、できる限り自由貿易を維持するかたちで決着してほしいと期待を表明。原産地規則の見直しがどのような影響をもたらすかは現段階では読めず、引き続き注意深く見守っていくと述べた。

米国の通商政策については、仮に日本からの輸入車に追加関税が課されれば購入価格が上がり、大きな打撃を受けるのは米国の消費者とディーラーであり、サプライチェーンも大きな影響を受けると指摘。この点については米国の州知事、経済人とも問題意識を共有できているものの、そうした声がどこまでトランプ政権の政策に反映されるのか必ずしもみえないとの懸念を示した。

【広報本部】