Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月22日 No.3386  フリストドゥリディス・キプロス外相と懇談 -日本とキプロスの経済関係強化に向けて/ヨーロッパ地域委員会

フリストドゥリディス外相(中央)と
佐藤委員長(右)、清水部会長(左)

経団連の佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長は10月22日、東京・大手町の経団連会館で、キプロスのフリストドゥリディス外務大臣が来日した機会をとらえ、二国間経済関係の強化をめぐり懇談した。

冒頭、佐藤委員長は、今年7月に日本と欧州連合(EU)の首脳が署名した日EU経済連携協定(EPA)は、日本とキプロスとの貿易・投資関係の拡大への追い風となると述べ、早期の批准・発効に向けた支援を要請した。フリストドゥリディス外相の発言の概要は次のとおり。

■ 日・キプロスの経済関係の強化

日本の国際的なプレゼンスの大きさに鑑み、両国の経済関係を一層強化したいと考えている。

日EU EPAの署名は日EU関係における大きな節目であり、EU加盟国であるキプロスとの貿易・投資の推進に大いに寄与する。他方、キプロスは約60カ国と二重課税防止条約をすでに締結しているが、日本とは未締結であるため、協定の締結を提案したい。

今年1月、キプロスに日本大使館が開設された。日本との関係の重要性の証しとして、キプロスとしても今年末までに日本に大使館を開設する予定である。船舶、エネルギー、観光等の分野をはじめ、日本との経済関係において多くの可能性を開くものとなろう。

■ 投資先としての魅力

東地中海のキプロスは、ヨーロッパのみならず、アジア、中東、北アフリカにも容易にアクセス可能な要衝に位置し、ビジネス環境の整備に努めている。

2004年にEUへの加盟を果たし、08年にはユーロを導入した。EUの法令およびEUが有する約40の貿易協定の恩恵を得られるほか、WTOの政府調達協定の加盟国である。また、EU加盟国中最低レベルの法人税率(12.5%)、英語に堪能な若い労働力、慣習法に基づく法体系、安全な生活環境を有している。

金融危機後、経済は回復を遂げている。今年のGDP成長率の見通しはEU加盟国で最高レベルの3.8%となる見通しであり、失業率も8%に改善した。

産業としては、サービス、観光、船舶が盛んであり、今後は、エネルギー産業、投資ファンドを含むベンチャー企業振興を図りたい。わが国への投資を望む日本企業のキプロスへの訪問を大いに歓迎する。

■ 英国のEU離脱

キプロスにとって最大の貿易相手国である英国のEU離脱について憂慮している。ビジネスへの影響を回避すべく、英国とEUが離脱協定に早期に合意し、円滑な離脱が実現することを期待する。

【国際経済本部】