Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年12月13日 No.3389  ロールモデルとなる多様なリーダーの存在が女性活躍のカギ -「第12回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/柄澤女性の活躍推進委員長が講演

柄澤委員長

経団連は11月21日、女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、柄澤康喜女性の活躍推進委員長(三井住友海上火災保険会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第12回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。会員企業各社の女性役員35名が出席し、講演を聞いた。講演の要旨は次のとおり。

■ 保険というビジネスモデルを通じた社会との共通価値の創造

2018年は西日本豪雨や台風など、大規模自然災害に見舞われた年だった。保険金の迅速な支払いと並行して、事故受け付けや状況確認など、お客さまにさらなる安心を届けるための業務プロセス改善とイノベーションを進めている。MS&ADグループでは、30年に目指す社会像を「レジリエントでサステナブルな社会」と位置づけ、企業活動を通じて社会との共通価値を創造し続けることによって持続的に成長するCSV(Creating Shared Value)を推進している。また、SDGs(持続可能な開発目標)を道しるべとしてとらえ、グループ事業の方向性を定めていくこととしている。そのなかで多様な社員がいきいきと活躍できる環境を構築すべくダイバーシティ&インクルージョンを進めており、将来を見据えるなかで「このグループでリーダーになりたい」という思いを持つ社員が増えることが、女性活躍にもつながる。

■ リーダーに求められるもの~女性活躍に向けた環境の構築

リーダーに求められるものは、(1)自らの価値観とブレない軸(2)洞察力と本質を見る力(3)対立概念のなかから最適な解を判断・選択しマネージする力(4)スピード感と一歩早い決断(5)コミュニケーション力(特に聴く力)(6)未来を見据え仕事の先にあるビジョンを示す姿勢(7)人間的魅力――の7点だと思う。また、今後女性活躍を推進するうえで必要なことは、(1)ロールモデルとなる多様なリーダー像をつくっていく(2)組織のなかで女性を少数派にしない(3)男性の意識改革を推進する(4)女性自らの意識を変え固定観念を取り除く(5)柔軟な労働環境を提供し透明性を確保する(“暗黙知”を“形式知”に)――の5点が挙げられる。

女性活躍に向け試行錯誤するなかで、判断する機会を与えることの重要性を学んできた。若手社員も含め、判断する経験を通じてリーダーとしての素質が育っていくと考えている。失敗も糧になる。こうしてロールモデルとなる多様なリーダーが育ち広がることが女性活躍につながる。役員である皆さんには、ぜひその先導役となってほしい。

ワーク・ライフ・バランスという言葉が浸透しつつあるが、バランスをとるだけでなく、男女を問わず個々人が多様な生き方を楽しめるようワーク・ライフを積極的にデザインしていくことが、女性活躍を推進する大きなカギになると考えている。

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講演後、女性役員に求められる資質や経営者に必要とされる価値判断等について活発な意見交換が行われ、柄澤委員長から多岐にわたるアドバイスが送られた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】