Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月1日 No.3390  増加傾向にある州政府の支出 -ワシントン・リポート<52>

米国の独立した非営利調査研究機関である全米州予算担当者協会(The National Association of State Budget Officers、NASBO)が11月に公表した報告書によると、すべての州政府支出見込み額の合計が初めて2兆ドルを突破したことが明らかとなった。1945年に設立されて70年以上の歴史を持ち、全米50州ならびに自治領の予算・財政担当部局の幹部職員などがメンバーとして参加するNASBOは、調査研究のみならず、政策提言、教育訓練活動を通じて州政府の予算・財政関連機能の質の改善に寄与している。

■ 分野別の割合

2018年度の支出は前年比で4.6%増えて2兆300億ドルに達し、17年度の前年比3.8%増と比べて高い増加率となっている。主な要因としては、連邦政府および州政府予算で賄われる低所得者向けの公的医療保険制度であるメディケイドが適用される人数が33州およびコロンビア特別区(首都ワシントンDC)で増えたことによる。メディケイド関連支出は18年度支出全体の29.7%を占め、次いで、初等中等教育の19.6%、高等教育の10.1%、交通インフラの8%、刑務所や拘置所の設置・運営の3.1%、公共サービスの1.3%と続く。公衆衛生、司法、経済開発、州警察、環境保護、失業保険等を含めたその他の支出は28.3%である。

■ 州別の違い

報告書では州別に各分野の支出割合についても統計が示されている。メディケイド関連支出が最も多くの割合を占めているのはミズーリ州(州政府支出見込み額は全体で260億ドル)の39.1%で、反対に最も割合が少ないのはハワイ州(同152億ドル)の14.1%である。初等中等教育では、バーモント州(同57億ドル)の32.9%が最大で、コネティカット州(同328億ドル)の12.7%が最小である。高等教育では、逆にバーモント州が1.8%と最小で、最大はアイオワ州(同227億ドル)の27%である。交通インフラは、地理的特性もあってかアラスカ州(同111億ドル)の14.4%が最大で、ワイオミング州の(同44億ドル)の2.4%が最小である。刑務所関連は、カリフォルニア州(同2886億ドル)の5%が最大で、ウェストバージニア州(同166億ドル)の1%が最小である。その他支出では、オレゴン州(同406億ドル)の53.6%が最大で、テキサス州(同1123億ドル)の11%が最小である。

人口や面積のほか、財源の違いなどを含めて州ごとに絶対的な支出額に相当な差異はあるものの、住民の生活に深く関連する各予算の配分については州政府が自ら判断を行う部分であり、各州における特色が配分割合の違いとなってデータに顕著に表れている。

州別支出額

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【米国事務所】