Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月14日 No.3400  「企業行動憲章シンポジウム」を大阪で開催

経団連は2017年11月に「Society 5.0の実現を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成」を柱に企業行動憲章を7年ぶりに改定した。その趣旨について会員企業・団体の理解を深めるため、昨年12月17日の東京(1月1日号既報)に続き、2月27日、大阪市内で「企業行動憲章シンポジウム」を開催し、約170名が参加した。

冒頭、山西健一郎副会長が、昨年11月に公表した包括提言「Society 5.0―ともに創造する未来―」について基調講演を行った。その後、山西副会長、中村邦晴審議員会副議長、立石文雄起業・中堅企業活性化委員長の3名により、「Society 5.0の実現を通じたSDGsの取り組み事例」をテーマに、Society 5.0 for SDGsの企業経営への統合と実践、ステークホルダーとの対話、環境・エネルギー問題への取り組みなどについて、会場からの質問も交えてパネル討議を行った。パネル討議での各登壇者の発言の概要は次のとおり。

■ 山西副会長(三菱電機特別顧問)

山西副会長

当グループは、「技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する」ことを企業理念としている。社会課題の解決に向けた価値創出をはじめ、すべての企業活動を通じて持続的成長を追求することにより、Society 5.0の実現とSDGsの目標達成にも貢献していく。特にSDGsの目標のうち、「ゴール7、11、13」に重点的に取り組み、技術シナジー・事業シナジー等を通じて価値創出を図っていく。

SDGsの浸透にあたっては、いかに日常業務と結びつけ、一人ひとりが自分事としてとらえるかがカギであり、そのためには何よりもトップからのメッセージが重要となる。同時に、これらがうまく浸透しないのであれば、その原因の特定と除去にも尽力しなければならない。

■ 中村審議員会副議長(住友商事会長)

中村審議員会副議長

われわれは持続可能な社会の実現に貢献する責任があり、事業を通じて、直面する社会課題の解決に努めることが使命である。

当社は17年に「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ」を特定し、開示している。これは、持続可能な社会の実現に取り組む当社の姿勢をあらためて明確にしたものであり、事業戦略や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素として経営の根幹に据えている。具体的には、戦略や投資の新規申請の際には、まずマテリアリティに沿った社会的意義の説明を行い、審議・判断することとしている。

各企業が、より積極的に社会との共生を目指さなければ、持続可能な社会は実現しない。また、企業自身の持続的成長の追求も、ビジネスの基盤となる健全な社会があってこそ可能となる。

■ 立石委員長(オムロン会長)

立石委員長

当社は1959年に「社憲」、90年に「企業理念」を制定し、これらを常に意識して事業に取り組んでいる。

社会的課題を解決し、よりよい社会を実現するためには、技術革新をベースに近未来をデザインし、必要な戦略を明確に描き、実行する、というバックキャスト思考による経営スタンスが重要である。

中期経営計画においては、各戦略をSDGsの目標と関連づけて、事業を通じて解決する社会的課題とステークホルダーの期待に応える課題を明確化している。経営者は未来を見据え、企業理念を基軸とした社会的価値の創出をリードしていくことが重要である。このことが、自社の企業価値の持続的な向上となり、サステナビリティの推進につながると考える。

【SDGs本部】