Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月21日 No.3401  政府におけるバリアフリー化の取り組み聞く -生活サービス委員会ユニバーサル社会部会

経団連は3月5日、都内で生活サービス委員会ユニバーサル社会部会(河本宏子部会長)を開催し、国土交通省道路局環境安全・防災課の野田勝課長から、道路における事例を中心に、政府におけるバリアフリーの取り組みや今後の課題等について聞いた。概要は次のとおり。

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道路には、車いす等の乗り上げが困難な段差や歩きづらい波うち歩道等の「バリア」が多く存在している。高齢者、障がい者等を対象として生活空間におけるバリアフリー化を推進するため、2006年にバリアフリー法を制定し、特に道路における移動の円滑化ということでは、歩道において十分な幅員を確保する、あるいは歩道と車道の境界の段差は車いす使用者が困難なく通行でき、かつ視覚障がい者が歩車道境界部を認知できる高さにするといった取り組みを進めている。

同法において規定している「特定道路」(生活関連経路で、かつ移動等の円滑化を図るべきとされる区間)での整備は進む一方、それ以外の道路を含めると主要鉄道駅周辺でも整備は進んでいない。今後特定道路の指定を拡大し、全国の主要鉄道駅周辺等のユニバーサルデザイン化を推進するとともに、地方公共団体の支援等、取り組みを強化していきたい。

バリアフリー化の推進にあたっては、地方公共団体における取り組みが重要であることから、「道路のユニバーサルデザイン化推進のための参考事例集」を作成し、全国の多様な取り組みを共有している。例えば、山口県下関市では、センターラインを除去して車両速度の抑制を図ったほか、路側帯の拡幅、カラー舗装化により歩きやすい歩行空間を実現させた。

民間企業との連携も進めている。狭い道路でも歩行空間を効率的に確保する対策として、神奈川県鎌倉市では、歩道と連続する沿道スペースを持つ土地所有者と整備や管理について協定を結び、一般の歩行者が民地である沿道スペースを歩行空間として自由に利用できるようにした。また、民間事業者において、歩行者移動支援サービスの開発を通じて、高齢者や障がい者等の利便性向上を図るため、国交省が有する歩行空間ネットワークデータを活用し、バリアフリーマップやバリアフリールートのナビゲーションなどを作成する動きも出てきている。

今後は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、競技場周辺のバリアフリー化に重点的に取り組んでいくとともに、サービスエリアや道の駅における24時間利用可能なベビーコーナー等、子育て応援施設の整備等も進めていきたい。

【産業政策本部】