Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月23日 No.3408  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は5月20日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、2019年1―3月期のGDP速報を受けて、日本経済に重大な変化があったわけではなく、引き続き回復基調にあり、底堅いと指摘。設備投資は業種によって異なるが、日本国内全体でみれば陰りはみえないとした。経営者の多くはデジタルトランスフォーメーションに向けた従来とは異なるビジネスモデルの構築を志向しており、国際関係の不透明性などの懸念材料は承知のうえで、次世代に向けて打つ手を懸命に考えていると述べた。

消費税率引き上げについては、今の国家財政について国民の間でしっかりと危機感を共有するためにも予定どおり実行すべきであり、経済界としてこの考えを変えるつもりはないとした。

最低賃金の引き上げについては、日本の最低賃金が諸外国と比較して相対的に低いことは理解しており、徐々に引き上げていくことに反対はしないとしたうえで、会員企業からは、3年連続3%以上という今の引き上げでも限界との声が多いと説明。最低賃金の引き上が景気浮上につながるとは思えず、何を目的に引き上げるのか議論すべきとの考えを示した。

食品廃棄対策をめぐっては、食品の廃棄率はコンビニ業界だけでなく、世界各国の食品業界全体の問題であり、食品ロスを減らしていくことは世界的な課題であるとの認識を示した。

米国輸出規制リストへのファーウェイの追加に関しては、5Gをめぐる米中の攻防戦はこれまでにない技術防衛の様相を呈していると指摘。次世代スマートフォンの個人向けサービスが進展するなか、国の戦略とビジネスが入り混じった争いになるとの見通しを示した。

米国による輸出管理改革法(ECRA)と外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)の制定については、こうした機微技術の管理強化の動きが日本企業のサプライチェーンや日本経済にどのような影響を与えるのか注視し、わが国企業の対応のあり方を検討する必要があると指摘。その一環として、大型連休中に訪米、財務省や商務省の実務者トップと議論したことに言及した。また、共和党、民主党の連邦議員と意見交換し、中国に対し、貿易不均衡にとどまらない危機感を抱いていることを実感し、日本経済界から米国に対して、継続的に意見を伝えていくことの重要性をあらためて認識したと述べた。

【広報本部】