Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月11日 No.3415  エルドアン・トルコ大統領と懇談 -エルドアン大統領 日トルコEPA交渉の年内妥結に意欲

エルドアン大統領(中央)と山西副会長(左)、オルパクDEIK会長

G20大阪サミット(6月28~29日)のためトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が約4年ぶりに来日した。経団連(中西宏明会長)の日本トルコ経済委員会(山西健一郎委員長、斎藤保委員長)はこの機会をとらえ、7月1日、都内で懇談会を開催し、日トルコ経済連携協定(EPA)の早期締結を含め、二国間貿易・投資関係の拡大と深化に向けた方策等について活発な意見交換を行った。

経団連側は山西副会長はじめ約40名、トルコ側はエルドアン大統領はじめEPA交渉を所掌するルフサル・ペクジャン貿易大臣、経団連のカウンターパートであるトルコ海外経済評議会(DEIK)のナイル・オルパク会長ら官民合わせて約50名が出席した。山西副会長とエルドアン大統領の発言の概要は次のとおり。

■ 山西副会長

経団連では昨年9月、約3年ぶりとなる日本トルコ合同経済委員会をイスタンブールで開催し、日トルコ経済関係やEPA締結の重要性について、実り多い意見交換を行った。

とりわけ日トルコEPAに関しては、包括的で質の高いEPAの早期実現を求める共同声明をDEIKとともに取りまとめ、両国政府に働きかけた。EPAを通じて、トルコへの投資を拡大するためにも、突然の規制強化などで投資家の利益を毀損することのないよう、安定的で透明性・予見可能性の高いビジネス環境を整備することが極めて重要である。

■ エルドアン大統領

昨今、保護主義的な関税の応酬など、グローバル経済は、さながら「貿易戦争」の様相を呈している。こうしたなか、日本とトルコは2013年に結んだ「戦略的パートナーシップの構築に関する共同宣言」に基づき二国間関係を緊密化し、さまざまな分野で効果が表れている。

しかしながら、日本の対外直接投資をみると、世界全体で約1兆ドル、対中国では約730億ドルであるのに対し、対トルコは約30億ドルにすぎない。トルコへの投資があまりにも少ない現状に鑑み、熱意を持って良好な関係を築いていく必要がある。日トルコEPAを妥結し、両国にとって公正で均衡のとれた経済関係が強化されるよう努力していく。

トルコは地理的に欧州・アジア・中東の重要な結節点に位置することなどから、例えば交通インフラ等でさまざまなビジネスチャンスを提供することが可能である。現に約200社の日本企業が進出し、橋やトンネルをはじめとするインフラの整備に貢献している。

貿易に目を転じると、トルコから日本への輸出が4.8億ドルであるのに対し、日本からトルコへの輸出は41.2億ドルに上る。日本の製品がトルコ市場に参入すること自体は喜ばしいが、その一方でトルコの農産品が日本に入る際にはさまざまな関税が障壁となっている。トルコから輸出される農産品は日本農業に脅威をもたらすものではないことを認識願いたい。経済規模や発展段階の違いを考慮しつつ、完全な自由化を目指し、できるだけ年内に日トルコEPA交渉を妥結できるよう取り組みたい。

【国際経済本部】