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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月10日 No.3426 中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は10月7日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、関西電力幹部の金品授受問題について、「授受した金額の規模や手法など、常識的に判断すればおかしい」として、今後設置予定の第三者委員会の調査を通じて問題の詳細が明らかになることへの期待を示した。そのうえで、原子力発電事業は地元の理解、地元との連携なしには成り立たないと指摘。電力会社やメーカーには、地域振興の観点も含めて健全な対話を進め、ウィンウィンの関係を築いてほしいと要望した。

消費税率引き上げの影響については、多少の駆け込み需要はあったものの、政府がさまざまな対策を講じていることもあり、日本経済に大きな影響は出ていないと述べたうえで、このまま反動減を乗り切り、来年以降の経済成長に結びつけていくことが重要との認識を示した。

第1回 Keidanren Innovation Crossing (KIX)の開催に関しては、日本でもようやくスタートアップが育ってきたという感があるとの所見を述べたうえで、産業構造の転換や企業のビジネスモデルの変革を促す存在として日本経済における役割や影響力は大きいと指摘。スタートアップとのタイアップにより、従来型の大量生産・販売のモデルとは異なるさまざまな取り組みが幅広く展開されていくとの見通しを示した。また、日本の大企業が自前主義から脱し、オープンイノベーションに移行することで、新しい手法を創造できるようになると述べ、経団連としてスタートアップとの連携に注力していくとの考えを示した。

景気動向指数の8月速報値をめぐっては、米中貿易摩擦やBrexitなど、足を引っ張る外的要因が多くあるなかで日本経済は堅調であり、深刻な状況にはないとする一方、景気動向次第では多面的に有効な対策を打つことも求められると指摘。従来型の金融緩和、財政出動一辺倒ではなく、データの保護・活用、電子政府の実現、社会保障改革など、経済財政諮問会議などで議論している施策の早期実行が最も重要との見解を示した。

デジタルトランスフォーメーションに関しては、大きく2つの意義があるとして、まず国内産業のデジタル化を挙げた。もはや業界の垣根はないに等しく、小分けされた業界単位でものを考えていては日本企業がグローバル競争に伍していくことはできないとして、痛みを伴っても産業構造改革を進めていくことがSociety 5.0の姿と紹介した。また、もう一つはデジタル化を通じた社会的課題の解決だと指摘。アジア各国で数多く現れているデジタルコンシューマー系のスタートアップは、経済基盤や社会インフラの整備、社会的課題解決につながるビジネスへの転換を望んでおり、Society 5.0の旗印のもと、日本企業と連携する余地は大きいと指摘。こうした基本認識を未来投資会議でも共有していくと述べた。

OECDでなされているデジタル課税の議論に関しては、ビジネス活動が行われているにもかかわらず、特定のマーケットでは全く納税されていない現状は何らかの是正が必要としたうえで、その手法によっては規制も含め難しい側面もあると指摘。制度の具体化に向け、経団連も積極的に貢献していくとの意向を示した。

【広報本部】

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