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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年12月3日 No.3478 医療分野の最新の政策動向について聴く -社会保障委員会医療・介護改革部会

経団連は11月16日、社会保障委員会医療・介護改革部会(藤原弘之部会長)をオンラインで開催し、厚生労働省の榎本健太郎大臣官房審議官(医療保険担当)から、医療分野の最新の政策動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 新政権下における医療保険制度の課題と対応

政府の全世代型社会保障検討会議は、昨年末に取りまとめた中間報告において、今後の改革の視点として「現役世代の負担上昇の抑制」や「すべての世代が公平に支える社会保障」等を打ち出した。そのもとでの改革事項として、医療保険の分野では「後期高齢者の窓口負担割合のあり方」と「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」が提示された。これらを具体化すべく、厚労省の社会保障審議会の検討も経て、最終報告を取りまとめることとされた。

最終報告の取りまとめは、当初の今年夏の予定を、新型コロナの影響により、今年末に延期することとした。

■ 後期高齢者の窓口負担割合のあり方

中間報告では、一定所得以上の後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)の窓口負担割合を1割から2割に引き上げる方向性を打ち出している。

引き上げの対象となる方の具体的な所得基準の検討にあたっては、(1)現役世代の負担上昇の歯止め(2)後期高齢者の生活への影響の勘案――が重要な視点となる。現在、社会保障審議会において、後期高齢者の収入、支出、貯蓄、受診動向、医療費の自己負担額などのデータを基に議論を行っている。経団連などからは、現役世代の負担上昇の抑制の観点に立ち、引き上げ対象を幅広くすべきであり、具体的には高額療養費制度の「一般区分」(住民税課税世帯。現役並み所得者を除く)に該当する者を対象とすべきとの意見がある。一方で、受診抑制による疾病の重症化やコロナ禍であることを理由に慎重な検討が必要との指摘もあり、非常に多様な意見をいただいている。こうした議論を踏まえ、今後、具体的な所得基準について、複数の案(選択肢)を示したいと考えている。

そのほか、全世代型社会保障検討会議では、紹介状なしで大病院を外来受診した場合に定額負担(初診については5000円以上)を求める制度の拡充を議論することとしている。

また、今年6月の第2次中間報告に盛り込まれ、菅義偉首相も強い関心を持って取り組んでいる不妊治療の保険適用などについても、具体化に向けた検討を行うこととしている。

また、社会保障審議会では、医療保険制度の給付と負担等に関し、(1)後期高齢者の「現役並み所得」の判断基準の見直し(2)傷病手当金の見直し(3)任意継続被保険者制度の見直し(4)育児休業取得者の保険料免除のあり方(5)金融資産等の保有状況の反映のあり方(6)不妊治療の保険適用――などについても検討を行っている。

【経済政策本部】

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