Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月7日 No.3482  ビューティーイノベーションでよりよい世界を -「第20回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/魚谷ダイバーシティ推進委員長が講演

経団連は12月9日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、魚谷雅彦ダイバーシティ推進委員長(資生堂社長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第20回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。49名の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ ダイバーシティが成長を牽引
~POWER OF PEOPLE

資生堂が「世界で勝てる日本発のグローバルビューティカンパニー」を目指すためには何が必要か――。その根底にあるものはダイバーシティ&インクルージョンである。多様な背景を持つ人が集まるほど新しい価値が生まれ、会社や社員の能力も向上する。

これまで、経営上の課題を見いだすために、まずは現場に着目し、延べ8万人の社員と対話してきた。また、真のグローバル経営を目指すため、2016年にはマトリックス型組織を導入。現地の責任者に、より大きな権限を与えガラスの天井を取り払った結果、社員のモチベーションが高まるとともに、マグネットのように、よい人材がいるところに優秀な人材が一層集まるようになった。加えて、比較的女性が少なかった部門長の層に着目し、サクセッションプランの改革に力を入れた。

21年1月からは、特定のポジションに合う人を性別、年齢、国籍に関係なく配置できるよう、エグゼクティブオフィサー制やジョブ型雇用制度の導入等により、究極の適材適所を実現する。同時に社外でも、女性の役員比率向上を目指して活動する「30% Club Japan」の活動に力を入れ、大企業から中小企業、そして社会全体に波及させていきたい。

■ 私のリーダーシップ・プリンシプル

会社を変革するには、人の心を動かすことが重要だ。そのためには、まずグローバル展開のなかでも日本のすばらしい文化・価値観を失わず、いかに西洋のよい部分と組み合わせていくかが大切になる。実際に、資生堂に古くから受け継がれる、細部まで品質にこだわる姿勢や、人を大切にする風土に共感して入社する欧米人も多い。加えて、リーダーがマイクロマネジメントをしていては好ましくない一方で、現場に経営課題が隠れている事もまた事実であり、自ら現場にアプローチする「ハンズオン」も重要だ。また、「北風<太陽」であるべきで、特に社員が閉塞感や恐怖感を持っているときに叱咤激励するべきではない。その代わり「(社員への)投資へのコミット」を行うべきである。

最後に、多様な社員が参画する際には、共通の価値観を持つことが極めて重要となる。資生堂のミッションは、化粧品を通じてエネルギーや自信を与えたり、幸せを感じたりしてもらうことだ。これに共感する社員が世界中で、柔軟な組織制度のもとアイデアを出し合えば、よいものが生まれるはずである。

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講演後、現場の声を経営に活かすための取り組み等について活発に意見交換を行い、魚谷委員長が出席者に多岐にわたるアドバイスを送った。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】