Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月7日 No.3482  ハイレベル・オンライン・シンポジウム「Society 5.0実現に向けた企業と投資家の長期戦略」を開催〈上〉

経団連は12月9日、「Society 5.0実現に向けた企業と投資家の長期戦略」をテーマに、ハイレベル・シンポジウムをオンラインで開催。420名を超える参加者を得た。各登壇者の講演の概要は次のとおり。

左から日比野氏、ブルームバーグ氏、高橋氏

■ 日比野隆司 経団連審議員会副議長/大和証券グループ本社会長

経団連は、「。新成長戦略」を策定し、Society 5.0の実現によって新たな価値創出を図り、サステナブルな資本主義の確立を実現することを定めた。

特にSociety 5.0実現には投資家との価値協創が不可欠である。このため経団連は、2020年に「ESG投資の進化、Society 5.0実現、そしてSDGsの達成へ」4月2日号既報「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」9月17日号既報)という2つの提言を公表した。

前者では、Society 5.0がESG投資と結び付けば、産業構造の転換が加速し、年間250兆円のGDPの押し上げ効果とSDGs達成が両立することなどを示した。

後者では、企業には長期ビジョンや戦略の提示、投資家にはそれへの適切な評価とともに、双方が積極的に対話を図る事が肝要と提示した。

大和証券グループでも、長期ビジョンとして「2030 Vision」の策定を進めている。また、社会課題の解決を図るイノベーションに幅広く資金供給を図る「ダイワSociety 5.0関連株ファンド」を設定した。これらを通じて、Society 5.0実現に果敢に挑戦していきたい。

■ マイケル・ブルームバーグ TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)議長

今は新型コロナウイルスという問題に直面しているが、その先の課題として気候変動がある。ビジネスリーダーの皆さまは、気候変動と経済発展が密接な関係にあることをご存知だと思う。企業が直面するリスクを明解にすれば、より迅速かつ効果的に対処できる。すなわち、よりよい情報開示が課題解決に拍車をかける。TCFDへの賛同を表明している世界の1500の機関のうち300以上が日本企業である。日本のさらなるリーダーシップの発揮に期待する。

■ 高橋誠 KDDI社長

KDDIは20年8月、「Society 5.0を5Gで加速する」を掲げ、KDDIの次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定した。またその実現に向けて重要となる7つのテクノロジーと、新たな社会基盤となる3つのレイヤを特定した。

3つのレイヤのうち、1つ目のネットワークレイヤでは、日本社会の5Gネットワーク浸透の加速に向け、30年までに約2兆円の設備投資、22年3月に5G基地局数約5万局(人口カバー率90%)を目指すことを提示した。

プラットフォームレイヤでは、国内外の企業と連携し、つながるクルマやあらゆるモノがつながるIoTなどを実現し、最先端技術のオープンなプラットフォーム環境を構築することを掲げた。

ビジネスレイヤでは、テクノロジーとビジネスを融合させたオープンイノベーション拠点を開設するとともに、「KDDI∞Labo」などを通じて、スタートアップに大企業のアセットを提供し、事業協創を連続的に創出する仕組みづくりを構築している。

Society 5.0に向けた取り組みは、SDGs達成にも寄与する。KDDIとしても引き続き、積極的に取り組みたい。

※ 講演は動画サイトで視聴可能
https://youtube.com/playlist?list=PLPMmkX4sPTFWrBs6xjy4nHsbHDriED4Sg

次号に続く)

【ソーシャル・コミュニケーション本部】