Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月21日 No.3484  「企業行動憲章シンポジウム」を開催 -ウィズコロナにおいて持続可能な成長を実現する企業経営

経団連は、2017年11月に改定した「企業行動憲章」の趣旨の理解浸透を目的に「企業行動憲章シンポジウム」を毎年開催している。4回目となる今年度は12月18日に東京・大手町の経団連会館で「ウィズ・コロナにおいて持続可能な成長を実現する企業経営」をテーマに開催し、同時にオンライン配信した。

平野副会長

二宮委員長

クレマーCEO

早川トヨタ自動車副会長(経団連副会長)

田中KDDI会長(経団連イノベーション委員長)

冒頭、基調講演を行った平野信行副会長は、パンデミックにより世界経済が大きく落ち込んだだけではなく、これまでのグローバル資本主義のもとで進行していた経済格差の拡大や社会の分断などがあらわになり、地球温暖化問題に対する切迫感も高まったと説明。そのうえで、新型コロナウイルス危機は、持続可能でよりよい未来を切り拓くための機会であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)とグリーン化を軸に未来志向の取り組みを加速し、サステナブル資本主義の潮流に向き合いながら、成長へのモメンタムを取り戻すことが求められていると強調した。

続いて登壇した二宮雅也企業行動・SDGs委員長は、経団連が20年7月から8月にかけて実施した企業行動憲章に関するアンケートに基づき、会員企業のESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みは、新型コロナ以前よりも加速傾向にあると報告した。他方、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」への取り組みは進展がみられないが、「誰一人取り残さない」というSDGsの根幹を成し、企業の国際競争力にも大きな影響を与えるため、経営トップのリーダーシップのもと、取り組みを強化することが重要だと強調した。

また、米国のBusiness for Social Responsibility(BSR)のアーロン・クレマーCEOはオンラインで参加し、「持続可能な世界のためのビジネス・トランスフォーメーション」をテーマに講演を行った。クレマー氏は、レジリエンスとサステナビリティは事業の中核にあり、経営トップが大きな目標となるパーパスを設定したうえで、(1)ビジネスモデルの変革(2)ガバナンスの近代化(3)イノベーション(4)協調(5)公共政策への関与――という5つの要素からビジネス戦略を再構築し、企業が変化のなかで成長するための真のレジリエンスを獲得することが重要であると説明した。

パネルディスカッションでは、トヨタ自動車の早川茂副会長ならびにKDDIの田中孝司会長が両社におけるサステナブルな企業経営への取り組みを紹介したうえで、意見交換を行った。

早川氏は、20年、トヨタがSDGsに本気で取り組むことを宣言し、モビリティカンパニーとして「幸せを量産する」という使命のもとサステナビリティを推進していること、また、新型コロナ対応、人権や環境等の具体的な事例について紹介した。

田中氏は、通信事業の「つなぐチカラ」を発揮してパートナーシップで社会的課題を解決すること、競争と共創の領域を明確に分離してSociety 5.0を加速することについて紹介。さらに、新働き方宣言と新人事制度、社内DXの3本柱で社内変革を加速させ、「人財ファースト企業」を目指すと説明した。

意見交換では、新型コロナを契機とした経営方針の転換においては、トップから社内外へのメッセージ発信や双方向型のコミュニケーションが重要であることや、社員一人ひとりの意識変革がとりわけ肝要であることなどを確認した。

【SDGs本部】