1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年1月28日 No.3485
  5. 公正取引委員会から同委員会の重要施策について聴く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月28日 No.3485 公正取引委員会から同委員会の重要施策について聴く -経済法規委員会

経団連は1月13日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会(平野信行委員長)を開催し、公正取引委員会の古谷一之委員長、菅久修一事務総長ら同委員会の幹部から、「公正取引委員会の重要施策」について説明を聴いた。

冒頭あいさつで古谷委員長は、(1)経済のデジタル化に伴って複雑化する反競争的行為に対して厳正に執行するために、専門的能力の強化を含め公正取引委員会の体制の充実を図る(2)EU等の海外当局の動向を注視しながら、デジタル経済下における競争政策のあり方について政府全体で検討していく(3)これまで以上に海外当局との連携を深めてグローバルに活動するデジタルプラットフォーム企業等に対する対応を強化していく――ことに言及するとともに、経済界と引き続き意見交換を行いたいと述べた。説明の概要は次のとおり。

■ 経済のデジタル化への対応(粕渕功経済取引局長)

経済のデジタル化については、2018年6月閣議決定の「未来投資戦略2018」や同年12月の公正取引委員会・経済産業省・総務省「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」の基本原則、19年6月閣議決定の「成長戦略フォローアップ」などを踏まえ、さまざまな対応が行われている。

公正取引委員会においては、例えば、オンラインモールやアプリストアを対象とした取引慣行等に関する実態調査報告書の公表(19年10月)やデジタル広告の取引実態に関する中間報告書の公表(20年4月)に加え、現在、「デジタル市場における競争政策に関する検討会」を開催し、「アルゴリズム/AIと競争政策」を当面のテーマとして、アルゴリズム/AIに関連する競争政策上の課題・論点の整理を行っている。

法令・ガイドラインに関しても整備を進めており、19年12月には、デジタル分野の企業結合案件に的確に対応する必要性が高まっていることを受けて、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」および「企業結合審査の手続に関する対応方針」の改定を行った。また、20年6月に公布された「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が今年2月に施行予定であり、経産省において適用の対象などを定める政令等のパブリック・コメントが行われている。

■ フリーランスの環境整備(藤本哲也官房政策立案総括審議官)

働き方の多様化としてフリーランスが注目されている。そこで、その取引環境整備のため、20年7月閣議決定の「成長戦略実行計画」に基づき、現在、関係省庁連名の「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)を公表しパブリック・コメントを行っている。

同案では、フリーランスを「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義し、競争法制や労働法制の適用に関する考え方などを整理している。独占禁止法に関しては、優越的地位の濫用の適用に関する記載がメーンとなる。また、発注時の取引条件を明確にする書面の不交付が、優越的地位の濫用となる行為を誘発する原因とも考えられることから、これを独占禁止法上不適切としている。

■ スタートアップの環境整備(田辺治取引部長)

大企業とスタートアップとの連携によるオープンイノベーションが進みつつあり、その環境整備が必要である。スタートアップの取引慣行に関しては、実態調査のうえ、20年11月に報告書を公表しているが、そのなかで、(1)スタートアップと連携事業者との取引・契約(2)出資者との取引・契約(3)競業他社との関係――において、独占禁止法の観点から問題となるおそれがある行為が確認された。

(1)に関しては、前述の「成長戦略実行計画」(20年7月閣議決定)に基づき、現在、経産省と連名の「スタートアップとの事業連携に関する指針」(案)を公表のうえ、パブリック・コメントを行っている。同案では、特に、NDA(秘密保持契約)、PoC(技術検証契約)、共同研究契約、ライセンス契約にかかるものを中心に、独占禁止法上問題となるおそれがある行為等を整理している。

【経済基盤本部】

「2021年1月28日 No.3485」一覧はこちら