Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月28日 No.3485  インパクト評価に関する国連大学と環境省の取り組み -企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース

経団連は12月22日、企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース(関正雄座長)をオンラインで開催した。国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の竹本明生プログラムヘッドから、国連大学におけるSDGs(持続可能な開発目標)のモニタリング評価に関する取り組みについて、また、環境省地球環境局国際連携課の大井通博課長から、「環境×SDGs一体推進パイロット・プログラム」について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ UNU-IASにおける取り組み

UNU-IASでは、各国政府がSDGsの進捗状況を自発的に報告するVNR(Voluntary National Reviews)の分析を行っている。153カ国の分析の結果、多くの国でSDGs実施のための基本的なガバナンスの仕組みづくりが進んでいることが判明した。具体的には、組織のなかの調整メカニズム、マルチステークホルダーの関与、SDGsのマッピング、国家レベルのモニタリング体制の創設などを行う国が増加している。

他方、課題としては、ステークホルダー自身によるSDGsの実施や連携のためのプラットフォーム構築、ローカルレベルでの推進・予算化、モニタリングメカニズムの発展とローカル化などが挙げられている。

■ 環境省における取り組み

環境省においては、令和2年度予算事業を対象として、事業実施にあたりSDGsの観点から目標を設定し、実績把握・自己点検を行うPDCAサイクルを試行的に導入している。今年度末または来年度初めに、実績把握と自己点検を行い、次年度の目標設定などにつなげていく予定である。目標設定においては、事業の主目的となるSDGsゴールに加え、副次的に関連するゴールも目標として設定をしている点が特徴的で、SDGs全体を俯瞰しながら包摂的に実行する目的がある。同取り組みは、パイロット・プログラムとして今年度から開始したが、今後は通常事業の一環として組み込むことを目標としている。

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意見交換では、「事業によるマイナスの影響をどのように評価すべきか」との質問に対して、竹本氏からは「トレードオフの取り扱いがモニタリング評価の仕組みの最大の課題。一部の国では、試行錯誤のなかでネガティブな影響評価に取り組んでいるが、統一的な手法は確立していない。おそらく、国、省庁、企業によってそれぞれに最適な手法があるはずなので、今後、各国の取り組みを収集・分析し、提案したい」とのコメントがあった。

同タスクフォースでは、企業や各種機関のSDGsに資する取り組みの評価事例について類型別にヒアリングを行うとともに、有識者と意見交換し、課題や改善策を取りまとめた報告書を作成予定である。

【SDGs本部】