Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月11日 No.3487  「リモート・マネジメントモデル~リモートワークで変わる、マネジメントとチームづくり」について聴く -雇用政策委員会人事・労務部会

萩原氏

経団連は1月27日、雇用政策委員会人事・労務部会(小野澤康夫部会長)をオンラインで開催し、リクルートワークス研究所の萩原牧子調査設計・解析センター長から「リモート・マネジメントモデル~リモートワークで変わる、マネジメントとチームづくり」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ジョブ・アサインメント for リモートワーク

リモート環境下における「マネジメントプロセス」では、4つの段階と、8つのポイントがある。

第一段階の目標設定では、(1)シミュレーションを実施し、仕事全体の見通しを立てる。第二段階の職務分担では、(2)仕事の単位をやや小さめに区分して、一つの仕事の納期を短めに設定し、(3)メンバーの自律度に合わせた適切な権限移譲を行う。

さらに、第三段階のマネジャーによるメンバーの業務達成支援では、(4)勘所をおさえたプッシュ型のモニタリングを行うとともに、(5)メンバー同士の相談などの助け合いを促し、(6)リスクを感じる状態に至ったときにはマネジャーが迷わず仕事を引き取る。

第四段階の仕上げの検証では、(7)仕事の区切り(終わり)を明確にし、仕事の空白を避ける、(8)仕事の成果やうまくいった要因をすべてのチームメンバーでシェアする。業務の段階ごとにこのような工夫を行うことで、リモートワークでの生産性を高めることができる。

■ チームマネジメント for リモートワーク

リモート環境における「チームマネジメント」でも同様に、7つのポイントがある。

まず、(1)メンバー同士でコミュニケーションや協働ができる「ワークサイト」と呼ばれるバーチャルな職場を設計する。(2)ワークサイトで業務を行うにあたっての作法を策定し、メンバーがそれらの作法を守る。

また、(3)リモートワーク環境下で仕事は基本的に「非同期」で進むため、仕事の進捗管理がより重要になる。(4)オンライン会議は、「必要な会議を、必要な人数で」行うなど、生産性を高める意識が必要である。

さらに、(5)リモートワークでは時に孤独に陥りやすいことから、メンバー同士のコミュニケーションを通して健康状態を常に把握し、異変に気付く必要がある。(6)キックオフなどのオフサイトイベントをセッティングするなど、チームワークを高める非日常を演出することや、(7)オンラインでの雑談など、仕事外のコミュニケーションを活発化することも重要である。

ポストコロナ時代においては、テレワークの推進と並行して、マネジメントのあり方を再設計することが重要である。これにより、場所や時間の選択肢が増えるにとどまらず、本当の意味での働き方改革が実現すると考える。

【労働政策本部】