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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月18日 No.3488 日英関係等についてマデン駐日英国大使から聴く -ヨーロッパ地域委員会

マデン大使

経団連のヨーロッパ地域委員会(越智仁委員長、佐藤義雄委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、2月末をもって離任予定のポール・マデン駐日英国大使から、任期を終えるにあたっての日英関係の総括および所感等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 日英関係とそれを取り巻く国際情勢

私が初めて日本を訪問してから約40年の月日がたった。この間の、日英両国を取り巻く国際情勢における最も大きな変化は、中国の台頭であろう。実際、今般のパンデミックは、世界がいかに中国に生産体制を依存していたかを明らかにし、同国の重要性と同時に、サプライチェーンの脆弱性を再認識させた。これを機に、新型コロナ以前からの懸念である一国への過剰な生産依存に対処することが必要である。コストの要素は引き続き重要だが、5G等の機微に触れる分野では一国依存を避ける国が特に増えているため、良好な関係を築く日英両企業が協働し、サプライチェーンを広げる好機となることを期待する。

英国は、欧州のなかでいち早く日本からの投資を受け入れた国であり、日英は双方にとって有益な関係を構築している。英国政府としては、引き続きビジネス環境を整備し、競争力の強化につなげるため、大型投資支援のための事務所設立や、カーボンニュートラルに向けた新規技術の支援、R&Dロードマップやインフラ戦略など、さまざまな政策を用意している。

■ EUから離脱した英国と今後

英国は、現在、独立した貿易国家として、第三国との新たな協定の締結を進めている。英国にとって、EUを離脱して以降、初の通商協定となった日英包括的経済連携協定(EPA)では、金融やデジタル分野において日EU・EPA以上に野心的な内容に合意できた。また今月1日、英国は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入を要請した。正式な交渉は、今年後半以降に開始される見込みである。すでに閣僚・事務方レベルで、現加盟11カ国と対話を開始しており、西村康稔経済再生担当大臣はじめ、すべての国が英国の加入に歓迎の意を表明している。CPTPPという最新の自由貿易協定の枠組みに加入することで、コロナ禍で保護主義が台頭するなか、CPTPPに含まれる高いスタンダードがグローバルに拡大するよう貢献したい。また、CPTPP加入が、インド太平洋地域との親密な関係構築の礎となることを期待する。

今年、英国はG7議長国ならびにCOP26の主催国を務める。国際的な枠組みにおいても、経済界をはじめ日英間のさまざまな連携を期待する。G7では、感染症や気候変動問題、貿易などの国際的な課題を取り上げる予定である。民主主義を土台とする開かれた社会が、世界の抱える課題にどう取り組むか、G7の役割を示したい。またCOP26では、気候変動問題に対する各国からの野心的なコミットメントを期待する。その観点から、昨年の菅義偉首相による2050カーボンニュートラル表明を歓迎している。

【国際経済本部】

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