Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月18日 No.3488  新型コロナ対応から学ぶわが国の危機管理の課題 -野村コロナ民間臨調委員が講演/社会基盤強化委員会

経団連は2月1日、社会基盤強化委員会(山内隆司委員長、渡邉健二委員長)をオンラインで開催した。

足もとでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が延長され、感染抑止に向けた官民による最大限の努力が続けられている。昨年、初めての緊急事態宣言が発出されて以降、感染拡大防止と社会経済活動の両立を模索するなかでさまざまな課題が浮き彫りとなった。

今後、激甚化する自然災害や新たな感染症などの非常事態に備えるにあたっても、今般の経験を踏まえた議論を深めていくことが不可欠となっている。

野村氏

そこで、中央大学法科大学院教授で新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)委員の野村修也氏から、新型コロナ対応から学ぶわが国の危機管理の課題について聴いた。概要は次のとおり。

コロナ民間臨調委員として、昨年の緊急事態宣言解除までの新型コロナ対応を検証した。そこから浮かび上がった課題として、(1)パンデミックを想定した法律や組織体制の準備不足(2)行政の縦割り(3)国・都道府県・市町村の連携不足(4)検査や医療提供体制における官民の連携不足(5)行政のデジタル化の遅れ(6)政府、知事、専門家などにみられたリスクコミュニケーションの問題――などが挙げられる。

民間企業や地方自治体においては、内閣府の主導もあって事業継続計画(BCP)の策定が進んできたが、これらは主に自然災害を想定したものであった。一方、感染症による影響は、事業継続の許容レベルを超えることはない状態が長期間続くため、企業には、そうした状況のなかで経営判断をしていく事業継続マネジメント(BCM)が求められている。

今こそ、日本が先送りしてきた課題を解決すべきである。「有事はあってはならないこと」とタブー視することなく、国と地方の関係の再検討、医療体制の見直しをはじめ、危機対応のための法・組織体系の整備を行う必要がある。

山内委員長(中央)、渡邉委員長(右)、大知久一企画部会長(左)

会合ではそのほか、提言案「非常事態に対してレジリエントな経済社会の構築に向けて」(別掲記事参照)を審議し、了承した。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】