Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年3月25日 No.3493  2021年春季労使交渉 -大手各社が回答提示

今年の春季労使交渉は、大手企業各社が3月17日の集中回答日以降、労働組合からの要求に対する回答を順次、提示している。本格的なコロナ禍の影響を受け、企業業績がまだら模様となり、先行き不透明感が極めて強いなか、複数年連続となるベースアップ実施や高水準の賞与・一時金の支給を回答した企業もみられる。これまでに回答が提示された主な業種と内容は次のとおり。

[自動車]

月例賃金については、トヨタが労働組合の要求どおりの9200円(全組合員平均)、日産が前年同額の7000円(一般従業員平均賃金改定額)を回答した。一方、三菱自動車工業、本田技研工業、マツダは労働組合がベースアップ要求を見送っている。

年間一時金は、トヨタ(6.0カ月)と日産(5.0カ月)、本田技研(5.3カ月)、スズキ(5.3カ月)、SUBARU(5.2カ月)が満額で回答。その他、ダイハツが5.5カ月、いすゞが5.2カ月、日野自動車が4.8カ月、三菱自工が4.0カ月、マツダは4.7カ月+α(業績回復状況を踏まえ決定)と回答した。

[電機]

主要電機各社の月例賃金の水準改善額は、1000円との回答が大勢を占め、8年連続となる有額回答となった。また、日立製作所が1200円、村田製作所が1100円を回答したほか、水準改善額500円に、カフェテリアポイント(日本電気)あるいは確定拠出年金への拠出(パナソニック)を加えた合計で1000円の回答を示した企業もみられた。

年間一時金は、日立製作所が5.75カ月+3万円、三菱電機が5.7カ月(満額回答)、富士電機が5.6カ月(満額回答)、OKIが4.3カ月であった。なお、東芝や日本電気、富士通、パナソニックなどは業績連動方式を採用している。

[鉄鋼・造船重機・非鉄]

月例賃金について、日本製鉄やJFEスチール、神戸製鋼所は、2年度分をまとめて交渉しており、昨年の交渉において、2020年度・21年度分ともに、定期昇給実施と賃金改善は見送ることで妥結している。

また、造船重機・非鉄の三菱重工やIHI、川崎重工、住友重機、三菱マテリアルでは、ベースアップ要求を見送っている。

年間一時金は、三菱重工が5.3カ月、IHIが4.0カ月+協力金5万円、住友重機械が5.28カ月+協力金3万円であった。日本製鉄やJFEスチール、神戸製鋼所、川崎重工は業績連動方式となっている。

[その他]

月例賃金引き上げではそれぞれ、日本電信電話が2000円、東洋紡が900円、コマツが400円、住友電工が300円、エクスランが200円の賃金改善を提示している。

【労働政策本部】