Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年4月1日 No.3494  第39回日本・香港経済合同委員会を開催 -相互理解の深化と経済交流の促進に向けて

國部委員長

経団連の日本・香港経済委員会(國部毅委員長)は3月9日、第39回日本・香港経済合同委員会をオンラインで開催した。日本側から國部委員長はじめ17社の企業関係者が、香港側からビクター・チャ香港・日本経済委員長はじめ14社の企業関係者が参加した。

開会あいさつで國部委員長は、香港は重要なパートナーであり、多くの日本企業が同地で事業を展開していると指摘。そのうえで、昨今の情勢が香港の経済、社会、ビジネス環境に及ぼす影響を注視している旨強調するとともに、日本・香港間の経済協力の可能性について議論を深めたいとした。

香港側のチャ委員長は、香港経済は長引くパンデミックや米中関係等の影響を受けているが、香港は健全な金融システム、法の支配、強固な知財保護制度、開放的な経済システム等を有しており、国際ビジネスと金融のハブとして、困難から回復する力があると強調した。

第1セッションでは、日本と香港・中国の最新の経済情勢をめぐり議論。日本側は、経済情勢や新型コロナへの対応状況、新型コロナ後のわが国の持続的成長に向けた方向性等について説明した。また、香港は、中国本土へのゲートウエーとして存在感を示しており、国際金融分野や大湾区構想との連携等を通じた協力強化に期待を寄せた。

香港側は、米中対立や一時の社会的混乱から香港を不安視する声があるが、「一国二制度」のもとでの自由は揺るぎなく、ファンダメンタルズも安定していることから、新型コロナ後に米中関係が正常化すれば、世界経済における香港の位置付けは不変であるとの見方を示した。また、「香港国家安全維持法」は、社会の安定を取り戻すために必要な措置であり、正当なビジネス活動にいかなる影響も与えない旨説明するとともに、香港情勢をよりよく理解するために、実際に香港を訪問し、現状を見てほしいとの声が寄せられた。

第2セッションでは、ウィズ・ポストコロナ期における日本と香港の経済連携の推進に向けて議論。香港側は、同地のテクノロジー・エコシステムと海外企業による活用事例等について説明するとともに、近年、香港社会ではキャッシュレス化や物理的な店舗を持たないデジタル銀行の発展など、デジタル金融サービスが急速に進展していることを紹介した。

日本側は、コロナ禍で食品等の日本から香港への輸出が拡大しており、農水産品等のさらなる輸出拡大に向けた物流分野での戦略や取り組みを説明。また、同地でのデジタル技術の活用や医療・ヘルスケア事業の推進等を通じた香港社会のデジタル化・スマート化や社会課題の解決、市民生活の質の向上等への貢献に意気込みを示した。

【国際協力本部】