Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年5月20日 No.3499  ベトナムの政治・経済情勢、今後の日越関係等をめぐり意見交換 -日本ベトナム経済委員会

経団連は4月13日、日本ベトナム経済委員会(市川秀夫委員長、藤本昌義委員長、兵頭誠之委員長)をベトナム・ハノイとオンラインで結び開催した。山田滝雄駐ベトナム日本国特命全権大使から、ベトナムの政治・経済情勢等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 新指導部の陣容と戦略

2021年1月のベトナム共産党大会において、党指導部の人事および今後の党・国家の方針が決定され、その後開催された国会で閣僚人事が承認された。新指導部4人の顔ぶれは、極めて親日的であるとともに継続性や安定性等を重視した印象である。

また、同党大会で採択された「今後10年の経済社会発展戦略」をみると、政治面では、国際統合を通じた各国との連携や国際社会での役割向上を進めていくこと、経済面では、自由貿易協定やサプライチェーンへの積極的な参加を推進するとともに、気候変動、再生可能エネルギー等、新たな課題に対応していくことが示された。

■ 新型コロナ抑制に成功、経済は順調に回復

新型コロナウイルス感染症の制圧に成功したベトナムは、昨年2.9%のGDP成長率を記録し、ASEANで唯一プラス成長を遂げた。貿易については、中国・韓国に対しては貿易赤字、米国・EUに対しては貿易黒字が拡大しており、二極化が進んでいる。この構造的な貿易不均衡の改善がベトナムのさらなる成長のカギとなっている。ちなみに日本は、ベトナムへの技術移転等を通じて、貿易収支が概ね均衡している。

エネルギー政策については、ベトナム政府は今年2月に第8次国家電力開発マスタープラン(PDP8)草案を公表した。同草案では、石炭火力の比率を下げ、LNG・再生可能エネルギーの比率を増やすといった政策の転換が示されている。

■ 今後の日越関係

日本は、ベトナムにとって、質の高い投資を行う重要国と位置付けられている。日越間で特に有望な経済協力分野としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)、環境・エネルギー、裾野産業の育成等がある。また今後、高度な人材を擁するベトナム企業と対等なパートナーシップを構築していくことも求められる。経団連も協力する日越共同イニシアティブにおいては、新時代の日越パートナーシップを模索しつつ、新政権が掲げる国家発展戦略および中長期的ビジョンの実現に貢献していく必要がある。

日越両国は、23年に外交関係樹立50周年を迎える。その際には、ハイレベルの往来等を通じて、日越関係をさらに高い次元に引き上げたいと考えている。

【国際協力本部】