Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年8月5日 No.3510  東証の新市場区分への移行に向けた実務対応 -金融・資本市場委員会資本市場部会

経団連は7月12日、金融・資本市場委員会資本市場部会(松岡直美部会長)をオンラインで開催し、東京証券取引所の林謙太郎上場部長から「新市場区分への移行に向けた実務対応」について、また、川井洋毅執行役員、江副貴彌株式部課長から「市場機能強化に向けた検討ワーキング・グループ(WG)」について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 新市場区分への移行に向けた実務対応(林氏)

2022年4月の新市場区分への移行に向けて、上場企業には、市場区分の選択申請と改訂コーポレートガバナンス・コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書の更新が求められる。

7月9日に新市場への適合状況を通知しており、上場企業は9月から12月の間に「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」のいずれかを選択申請する必要がある。現時点で新市場の上場維持基準を満たしていない市場を選択した場合には、維持基準の適合に向けた計画書の開示をあわせて行えば、上場維持基準の経過措置が当分の間、適用される。

新市場の選択申請にあわせて、コーポレートガバナンス・コードの改訂を踏まえ、遅くとも今年12月末までにコーポレート・ガバナンス報告書を更新する必要がある。なお、改訂コードでは、プライム市場の上場企業に、より高水準の対応を求めており、該当する原則や補充原則は22年4月のプライム市場への移行後に適用される。

今回のコード改訂では、16の原則が見直されており、うち4項目では追加的な情報開示を求めている。コンプライしない場合には、個別の事情や今後の取り組み方針、コードの趣旨を踏まえて代替的に採用している方法などを具体的にわかりやすく記載してほしい。

■ 市場機能強化に向けた検討WGについて(川井氏、江副氏)

東証では、現物売買システムの更新を24年度に予定しており、5月に市場機能強化に向けた検討WGを設置した。「立会時間の延伸」「大型連休対応」のほか、次期システムの売買制度や機能について議論している。

「立会時間の延伸」では、海外市場の取引時間との比較などを踏まえ、午後立会終了時刻の後ろ倒しを検討している(夜間取引は検討対象外)。「大型連休対応」では、デリバティブ市場の祝日取引の開始や投資家のニーズを踏まえ、取引機会の提供の是非、価格形成、情報開示などの観点から論点の洗い出しを行っている。

【経済基盤本部】